プレゼンテーションをする
大学では、しばしばプレゼンテーションが課題として出されます。しかし最初からプレゼンテーションが得意だという人は少ないでしょう。ではどのようにすれば良いプレゼンテーションを行うことができるのでしょうか?この章では効果的なプレゼンテーションの方法を学びます。
プレゼンテーションとは何か
プレゼンテーションとは、限られた時間の中で、情報や主張を自分の言葉で聴衆に伝えることをいいます。プレゼンテーションは聴衆とのコミュニケーションです。状況や方法、聴衆からの反応などいろいろな要素によって成り立っています。例えば、状況は、授業やゼミで調査結果を発表する、学園祭で研究発表をする、サークルで活動報告をするなどが考えられます。
プレゼンテーションの準備
プレゼンテーションの趣旨を理解する
- 何が求められているのか?
- 紹介、主張、報告など、何のために行うのかを明確にします。
- 誰に対して行うのか?
- 聴衆は学生ですか?それとも専門家ですか?一般の人たちですか?最も効果的に伝えるには、どのような方法や話し方が良いのかを検討します。
テーマを決定する
時間を考慮し、趣旨に合った適切なテーマを決定します。
構成を練る
一般的にプレゼンテーションは「序論(イントロダクション)「本論」「結論(むすび)」で構成されます。最大の効果を生むようにストーリーを考え、相手にわかりやすくメッセージを伝えましょう。
序論 | なぜこのトピックを取り上げるのか、なぜ重要なのか、問題を提起し、本論へスムーズに導くための動機付けを行いましょう。疑問形を利用する、特徴ある言葉や事実を引用するなどして、聴衆の興味をひきつけましょう。 |
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本論 | 時間制限を考え、主張や情報についてポイントを絞り、効果的に伝える工夫をしましょう。話に筋は通っていますか。わかりにくいところはありませんか。 |
結論 | 重要ポイントをふりかえり、目的と主張を聴衆に印象づけながらまとめましょう。 |
リハーサル~本番
リハーサル
リハーサルは必ず行いましょう。適切な言葉遣い、声の大きさ、自然なボディランゲージやアイコンタクトができるように心がけましょう。全体を通じてわかりにくいところはありませんか。与えられた時間に対して短すぎたり長すぎたりしないかも重要なポイントです。可能であれば第三者に客観的に聞いてもらうとよいでしょう。
当日
これまで準備、練習してきたことを発揮して、満足のいくプレゼンテーションを行いましょう。オンラインの場合は機器の設定に注意しましょう。プレゼンテーションを自分が伝えたいことを伝えられるチャンスとして前向きに捉え、深呼吸し、リラックスして臨みましょう。自信をもって、聴衆とコミュニケーションできる余裕があれば合格です。
質疑応答
質疑応答は怖いものではありません。落ち着いて対応しましょう。メモを取りながら聞くのがおすすめです。質問が聴衆に聞こえていない場合もあるので、最初に「今の質問は~」と趣旨を繰り返すと親切です。簡潔かつ的確に答えましょう。他の聴衆のことを忘れず、質問者との討論にならないように気をつけましょう。
自己点検
プレゼンテーションの反応はどうでしたか。意図をきちんと伝えることができましたか。今後に活かすために自己点検を行いましょう。改善すべき点があったとしたら、その原因をよく分析し、改善するためにどうしたら良いのかを考えましょう。次回はより素晴らしい成果が得られるはずです。
視覚資料をデザインする
なぜデザインするのか
プレゼンテーションでは、自分の考えや、アイデアを相手にいかに上手く伝えられるかが重要になります。資料づくりにおいて以下の点を考慮すれば、聴衆の理解を得ることができます。- レイアウト-情報の整理と配置
- タイポグラフィ-文字の選択と大きさ・スタイル
- カラーリング-色の選択と組み合わせ
情報の整理と配置
関連する情報を整理し、グループ化を行い、その関係に従い適切に配置することは、資料の可視性を高め、情報の理解を容易にするという点において大変重要です。聴衆がストレスなく情報を理解できるよう、伝えたい情報がどのようなまとまりを持つものかを明示し、その関係に従って適切に配置することに気を配ってみましょう。
書体や色
書体や色は、プレゼンテーションの雰囲気や印象に影響を与えます。そのため、自分がプレゼンテーションに持たせたいイメージや、ターゲットとする聴衆や発表の場の雰囲気に合致する書体や色を選択することはとても重要なポイントとなります。 わかりやすく伝えるためには、可視性が高く読み取りやすい書体を選択する必要があります。また、どのような色を用いるかによって、情報の理解しやすさや読みやすさ、さらにはプレゼンテーションが聴衆に与える印象が変わります。
対比
特定の情報を強調し、他の情報との違いを際立たせることは、プレゼンテーションの焦点を定め、聴衆にとって情報を理解する手助けとなります。 対比を生み出す最も簡単な方法は、大きさに変化を与えることです。快適に読むことができる文字の大きさについても考慮する必要があります。 異なる色を用いることも、対比を生み出す方法のひとつです。
まとめ
プレゼンテーションは聴衆とのコミュニケーションです。コミュニケーションの道具としての資料の重要性を理解し、「伝わる」資料作成を心がけてください。- 伝えたい情報を整理し、グループ化を行い適切に配置しよう
- 伝えたいポイントを明確にし、その部分を強調しよう
- 書体や色は、見やすさ、わかりやすさを考慮し、与える印象にも配慮して選択しよう
TIPS
<もっと知りたい方は>
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慶應義塾大学教養研究センター監修,大出敦編著,直江健介著,2020,『プレゼンテーション入門: 学生のためのプレゼン上達術』,東京:慶應義塾大学出版会.
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高橋佑磨,片山なつ著,2021,『伝わるデザインの基本: よい資料を作るためのレイアウトのルール』,増補改訂3版,東京:技術評論社.