研究会報告


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第3部 図書館の動向

1. 関西学院大学 アウトソーシングの現状

[浜田]こんにちは。関西学院大学の浜田と申します。今日はこの場で私どもの大学の事例が紹介できることになりまして、ありがとうございます。本来でしたら毎回この研究会に出席しております安本が紹介する予定ですが、本人の都合で私が代わりに事例を紹介させていただきます。今日は、入江さんのメールマガジンにも書いてありましたように、関西の大学のアウトソーシングのお話をということでしたので、お手元の資料もアウトソーシングを中心にまとめさせていただいておりますが、その前に、関西学院の方で今日の話にも関係がありますZ39.50がどういった状況なのか、安本からメモを預かっておりますので代読させていただきます。関西学院では現在、富士通さんの方で開発されましたiLiswaveに、今年の4月から全面的に切り替えまして業務をしております。その中に標準化としてZ39.50のサーバーが導入されるということで現在それを構築中ですが、実際どのように運用するのか、どのように公開していくのかは全く未定ということです。それからiLisSurfというシステムは今回のリプレイスでは導入しておりませんので、クライアント機能は当面関西学院ではないということです。仮にZ39.50を導入しても関西学院の方から他のZ39.50を検索することは今のところ予定がないということです。それと3点目はZ39.50をどういった形で使っていけるかということですが、今日のアウトソーシングのお話しにも関係してくるかと思うのですが、「PLATON」という紀伊國屋書店が開発しているシステムを発注管理で使っています。まだ全く検討はしていないのですが、Z39.50でOPACを公開すれば「PLATON」に蓄積されている発注管理のデータとOPACの蔵書のデータとの横断検索ができるといった方法も可能と聞いていますので、今後そういった方法を検討していく可能性はあるということは言えるかと思います。今日のお話しに関連しまして、関西学院大学の図書システムの現状を簡単に触れさせていただきました。

それではお手元の資料にもとづきまして、アウトソーシングの事例につきまして簡単にご紹介をさせていただきます。必ずしもライブラリーシステムに関連する話ばかりではありませんが、このような考え方でやっているということをお聞きいただければと思います。
まず図書資料の流れとしましては、図書あるいはパッケージ系のメディアであれば、選書・選択の後に発注をして、それが実際に図書館に入ってきて受入・整理・データ作成・装備といった業務を経て利用に提供されます。私どもの図書館では特に発注管理・受入・整理の部分につきましてアウトソーシングを取り入れています。これら以外に例えば雑誌の製本業務ですとかチェックインデータの作成、カウンター業務なども一部はアウトソーシングはしていますけれども、今回は発注管理から受入についてのアウトソーシングのお話しをさせていただきます。具体的には国内書につきましては、大部分を発注から整理を一連の業務として外部委託しております。それから視聴覚資料については整理業務のみを外部委託して、発注については図書館の方でやっております。これら以外に特別事業予算としまして、学部等の設置用に図書資料をまとまって購入することがありますけれども、それらにつきましてはその都度、発注から整理までを一連の業務としてそれぞれ専門の書店等にお願いするということがあります。日常の業務の中では国内書の発注から整理までが外部委託だと思っていただければいいと思います。

外部委託の内容ですが、お手元の資料の3枚目に時系列でまとめたものがございますので、それを一緒に見ていただきながらお話しさせていただきたいと思います。今申し上げましたように関西学院では発注から整理、データ作成・装備までを一連の業務として委託したいという考え方で以前から取り組んでいました。まず14年前の1988年に図書の発注整理業務の一部の委託を始めています。この時は大学生協の書籍部に委託をしました。データ作成は生協書籍部からTRC、すなわち図書館流通センターに委託するという形でした。この時の目的は、整理業務の省力化と処理の迅速化です。14年前の1988年度という時期は時代も良かったんでしょうか、図書館の図書資料費が毎年増額されていました。当然、購入量も受入の数量も増えていた時代なんですが、図書館の職員は以前の少ないままなので、それでは処理が追いつかないということで外部委託を始めたというのが、この時期です。この時は、新刊の国内書を対象といたしました。その理由は図書館流通センターのTRC-MARCを使うことで、ご存知のように出版された時点で既にMARCができあがっていますから、そこに委託することで発注から配架までがかなり早くなるだろうということを期待しました。結果として、実際そういう効果が得られていました。それと図書の発注からをすべて生協書籍部に任せますから、いわゆる発注データの入力も書店の方に委託することができるという効果もありました。もう一つこれが大事なところと思うのですが、あとの目的にも関係しますけれども、発注先を一つの書店にまとめやすい国内書新刊は、色々な書店から当時購入していたのですが、生協書籍部に発注がまとめやすかったという理由が大きいと思います。一つの書店にまとめないと、どうしても発注段階の重複調査のために別のしかけを考えるのは難しくなるということがあったので、生協書籍部にまとめて発注ができる国内新刊書を外部委託したということになります。この理由の裏返しで国内書の新刊以外は発注先を統合することが難しい、それからTRCの方でMARCが揃っているとは限らないという理由で館内処理を続けました。その後、同じような考え方で視聴覚資料についての委託も始めたのですが、1997年度から状況が大きく変わりました。
関西学院大学では新しい図書館が西宮上ケ原キャンパスに秋にオープンしまして半年後の1998年度から図書館の予算で買われた図書資料は図書館に集中配架しましょうという計画が決まりました。それまでは学部に配分された予算で学部が発注した図書を図書館は整理をするだけだったんですけれども、発注も図書館に集中しようということになりました。そうなりましたら重複調査をきちんとして効率的な予算執行をしましょうということになるのですが、じゃあその仕組みを実際にどうしようかということが問題となりました。発注時点での重複調査をきちんとするためにはOPACの蔵書検索での重複調査だけでは当然不十分ですから、発注データを一元化しておかなくてはならないということになります。でも当時の図書システムでは、そういったきめ細かなことは難しかったので、書店が運用する発注管理システムというものを導入したらどうだろうということで、1995年の秋頃から検討を始めまして、1997年度から国内書については生協書籍部が運用するシステムを導入して、外国書については紀伊國屋書店が運用する「PLATON」を使うことになりました。この結果、国内書については大部分の発注は生協書籍部にまとまっていましたから、発注データの入力から重複調査から委託整理まですべて任せることができたということになります。それから紀伊國屋書店の「PLATON」の場合は紀伊國屋書店への発注は外国書の中では一部ですけれども、それについては発注データは紀伊國屋書店に入力してもらう、他書店の発注については重複調査のために発注データを一元化しないといけませんから図書館の方で入力しましょうという形で始めました。
この方法でしばらく業務が続いていたのですが、2002年度、つまり今年から、生協書籍部と図書館流通センターの契約が終わりましたので、国内書についても紀伊國屋書店の「PLATON」で一元管理をするということになったというのが今の現状です。視聴覚資料につきましては、生協書籍部に委託して図書館流通センターのデータを使っていたんですけれども、同じ理由で「PLATON」の方に図書館でデータを入力して委託整理だけを図書館流通センターに頼むという、ちょっと変則的な形になっています。外部委託の目的なんですが、経緯の中でお話ししましたように、一番大きな目的は業務の省力化、特に発注から整理業務までの省力化、それからMARCがすでにできている図書に限られますけれども処理の迅速化、集中配架に伴う重複購入を避けるための処理量増大への対応の三つが大きくあげられるかと思います。

この三つを私どもでは目的と考えていまして、よく言われてますコスト削減については今までのところはアウトソーシングの目的とかアウトソーシングの効果としては考えていません。実際に費用を計算しましても、国内書については館内整理と大きな差がないので外部委託をしていますが、外国書の場合はMARCのデータが高いこともあると思うのですけれども館内整理の方が安いという結果がありますので館内で整理をしています。なぜ館内整理のコストが安いかと言いますと、私たちの図書館ではかなり以前からアルバイト職員の活用ということをやってます。専任職員がやる仕事とアルバイト職員がやる仕事をきちんと切り分けて、専任職員の指示でアルバイト職員が仕事をするということをかなり以前からやってますので、その効果があって委託整理と館内整理とに大きな差があったり、館内整理の方が安いということが言えるのだと思います。これは大学によって事情が違っているかもしれません。

次に資料の2枚目を見ていただいて、「アウトソーシングの展望」として、今後の課題をいくつか簡単に紹介させていただきたいと思います。関西学院で実際に実感している課題として、一つは発注管理から整理業務のところですが、書店の方が来られているので言いにくいのですが、購入先に依存しない外部委託、つまり発注から整理までを一連の業務として委託しようとすれば必ず他書店に発注するものも流れに乗せないと効果があがらないということがあります。私たちの事例では、国内書については以前は生協書籍部に今は紀伊國屋書店に発注するのですが、古書だとか直取り、学会発行のものなどは書店の方が扱いにくいとか扱わないとかおっしゃるものがあるとこの流れに乗らない、結局館内整理が残る。外国書の場合には今は委託整理はしていませんけれども、仮に委託整理をしようとした時でも紀伊國屋書店さんの方に発注をまとめるということが非常に難しい、国内書以上に流通経路がいっぱいありますから、発注先を一つにまとめることはできない、だけれども整理は一つにまとめたいということがあります。ですから他書店に発注するものも外部委託にしてくださいね、ということがきちんとできるのかなというのが一番目の課題になります。特に国内書は、外国書もそうかもしれませんけれども、物流のある関東で図書の現物を集めて、整理をした後に各地の図書館に搬送するという方法が一番効果的です。一度地方の、関西も地方ですけれども、地方の図書館で受入をしてまた東京に送り返して委託整理をするというのは非常に不効率ですね。
2番目には、外部委託先に判断と責任を任せる範囲をきちんとしましょうということがあります。すべての業務をアウトソーシングできればこういう問題はないのでしょうが、実際には図書館とアウトソーシング先と連携をとって仕事を進めないといけない。それと委託できる企業が限られていて、委託できる企業での人材確保だとか人材養成というのが非常に大きな問題になってきているというように考えています。学内でノウハウの蓄積ができなくなりますという問題はアウトソーシング全般に言われていますので、ここでは敢えて触れませんけれども、委託先の方でそういったノウハウが、知識が蓄積されていかないとアウトソーシングが維持できないだろうというのが問題としてあります。今私たちのところでは図書館で作った仕様書を基本にアウトソーシングをしているのですが、どうしても図書館と連絡をとって図書館の方で判断をして指示をする必要があります。例としてあげますと分類番号とか請求番号について、分類番号がこれでいいのか、請求番号がこれでいいのかという問題について、かなりしょっちゅう電子メールやFAXでやりとりをしています。それと、もう一つは発注管理や予算のところに関係しますけど、予算が残り少ない時にこの図書を優先して発注して受け入れましょうという判断、これをアウトソーシング先に任せられるかということがあります。A学部とB学部で発注が出たもののどちらを先に買うのか、A先生とB先生の発注のどちらを先に買うのか、これには非常に微妙な問題があって、これを機械的にマニュアルで処理できるのかという問題です。アウトソーシングを本当にするのであれば、こういったことも責任を持って任せられる方法を考えておかなければいけないなと思います。
3番目は、業務の標準化とカスタマイズです。一般によく言われるのはアウトソーシングする場合には業務を標準化しておけば効果が上がりますということですけれども、実際にはなかなか標準化がしにくい。発注業務につきましては今申しましたように予算管理ですとか重複調査の問題ですね。マニュアルだけで処理ができればありがたいのですけれども、なかなか微妙な問題がありますので具体的には控えさせていただきます。整理業務についても先ほど申しました分類体系、請求番号の付与、装備の仕様などの問題で、きちんと標準化できるものとできないものがあると思います。現在は分類番号の変換と請求番号の採番については、館内整理とアウトソーシングを並行して行っているということもあるのですが、私たち図書館の中と委託先の紀伊國屋書店がインターネット経由で分類番号の変換と請求番号の付与などを同時に行えるシステムを作って、運用しています。それから継続管理も地味なんですけど大きな問題があるだろうと考えています。発注管理の話になりますが、継続発注をして書店が継続管理をしてきちんと納入してくれていれば問題はないのですが、書店とか出版社では継続の受注ができないからその都度発注してくださいといった図書の場合、それでも分類番号とか請求番号とかは図書館の方では揃えないといけない、それをどこがどうやって管理をしましょうか、というのが課題です。今のところ図書館の専任職員が個別に調整をしていて、アウトソーシング先にお願いしていますけれどもなかなか難しくて個別の調整が多くなっている、こういった問題が残ってます。
4番目はシステム運用と書店の連携ということで、図書システムと発注管理システムの連携です。私たちの場合は「PLATON」と「iLiswave」の2つを並行して運用することは本当は不便なんですけれども、実際には書店が運用しているシステムを使った方が利点がある場合がある。一つは発注の部分については目録規則に基づいて作られるMARCと流通で使われているデータが違う場合が非常に多い、MARCで言う出版社と流通で言う発売元が違ったりしますし、書名の取り方が違ったりする。その場合、発注するときはMARCじゃなくて流通のデータを使った方が望ましいし、出版される前の図書を発注する場合にはMARCがありませんから流通のデータを使わないと発注ができないということがあります。整理業務についても図書館と委託先が同じシステムを使っている方が都合がいいことが多い。そういったことで考え方によっては、発注管理システムというのがシステムの運用のアウトソーシングという言い方もできるのかなと思っています。 以上関西学院のアウトソーシングにつきましてざっとお話いたしました。ありがとうございました。

2. 立命館大学 アウトソーシングの現状

[中崎]立命館大学の中崎と申します。よろしくお願いいたします。今日は立命館大学におけるアウトソーシングとシステムの現状についてということで話をさせていただきたいと思います。まずアウトソーシングの方からお話をさせていただきたいと思います。立命館大学のアウトソーシングですが、アウトソーシングにするに関わりましては図書館の組織の変革と業務改革が伴いますが、視点といたしまして、立命館大学では総合的な学術情報システム構築とデジタル情報の構築推進という観点、電子図書館機能の充実と学術情報サービスの高度化という観点、トータルなネットワークの構築と資源の最適な整備と資源・ノウハウ共有促進していこうという観点データの一元管理と学園発展のための情報の戦略的活用促進という観点、人材・資源・資金の有効活用というこの5点の観点に基づきまして、図書館組織の変革と業務改革をおこなってきております。組織の統合再編ですが、1998年に情報システム部門と図書館部門はご覧の通り別々の組織としてなっておりまして、これを新組織として総合情報センターを頭に置いて、システム部門と図書館部門の2つを統合したという形になっております。業務的には図書館部門の話ですけれども、キャンパスが衣笠キャンパスとびわこ・草津キャンパスという2つのキャンパスがございますけれども、全学図書の受入・整理・装備・配送までを衣笠キャンパスに集中しておこなうということで衣笠キャンパス内の業務拡大ということもおこなってきております。組織の改編はなかったのですけれども、この後1999年に、納品から目録・装備・配送までの図書資料の整理業務についての業務委託化、先ほど関西学院大学さんは洋書は。。。というお話がありましたけれども本学の場合は全面的に業務委託化をおこなってきております。2001年にまた再編統合がありまして、今度は図書館部門で言いますとサービス部門と図書管理部門の2つに分かれていたものを1つにまとめようということで、先ほど申しましたように衣笠キャンパスの方で図書管理の一元化をしていたのですが、今度はそこにサービス業務もまとめるということで統合されたということになります。どういう目的で業務的におこなわれたかと言いますと収書と利用者サービスの融合を行い、利用者サービスの高度化を目指すという観点と、専門のレファレンスライブラリアン、これもまた業務委託しているのですが、こちらの導入ということで情報リテラシー教育の推進と参画をしていこうということです。衣笠メディアサービス課の中に電子図書館とシステムを担当する部門を確立いたしまして、電子図書館のIT化への対策を確保したという形になります。こちらのグラフですが、太い折れ線グラフが業務委託の方の数で、1998年あたりからずずっと右肩あがりでどんどん増えていくばかりになっております。専任職員とか他の職員等は減ったり増えたりということでそんなに増減はないんですけれども、業務委託の方はどんどん増え100名ちかくの方が図書館で働いていただいているという形になっております。業務委託の導入の経緯ですが、「学生の学びと成長」に寄与するということ、利用者サービスの高度化を推進するための図書館政策・立案のマンパワーの確保ということで、業務スタイルが変更していくということで業務委託できるところはしていこうということになりました。専任職員の定数が、先ほどのグラフではあんまり減っていないんですけれども、減少していくという現実もありますし、大学側が求める専任職員の像というものが専任職員が図書の目録をとったりということではなくて企画立案するような業務にシフトしていっているということがあります。本学の場合は人事異動も多く、専任職員が変わっていく中で目録をとる人間が果たしてどれだけいるのかという問題もあり、業務委託することで委託会社でそういった知識を蓄えていただいてそれを大学で発揮していただきたいという観点もありました。ということで業務委託化がすすんできております。

業務委託に向けての視点ですが、委託にあたりまして業務の範囲ということと、委託会社、業務の質を立命館大学として判断するための調査活動をおこなってきております。どういった視点で調査してきたかといいますと、まず他大学の事例を調査させていただいたということがあります。これは委託業務の範囲ですとか、本当に業務委託することができるのかどうかを調査してきています。あとNIIの学術情報データベースの参加館としての責任もありますので委託業者の質的な調査ということもおこなってきております。あと、これは委託する前の話なんですが、多言語処理問題というのがありました。これが学内ではなかなか進まなかったというところがありまして、そこを何とか進めたいということもありまして、多言語による目録が可能かどうかという視点もありました。書誌調整の業務もあるかと思いますけれども、その辺も全面的に委託することが可能かどうかも調査の対象となっております。過去の書誌のデータメンテナンスもおこなっていただけるものかということも調査をすすめてきました。過去の書誌のデータメンテナンスにつきましては非常に煩雑な業務ということで、当初は契約職員の仕事としてやってきていたのですが、2年目からいろいろ目録とっていただいて学内のことも分かっていただいてきたということで、そういった蓄積をもとにメンテナンス内容を類型化して大部分を業務委託でまかなっていただけるようになりました。業務委託の成果ということでまず目録業務に関しましては、専門的な知識を有した業者に委託したためにデータベースへの数量や質での貢献ということがあげられます。先ほど申し上げましたように人事配転や全学業務に無関係ということで安定した資料整理や目録業務をおこなってきているということでサービス面での向上が図られました。多言語処理の問題もある程度解決してきていますし、職種による業務内容と責任の明確化が図られるようになりました。専任業務の高度化ということで専任職員が委託業者をマネージメントする力ですとか、マネージメントする中で統計分析などを通していろいろ企画したりですとか政策化したりするような業務に携わることができるようになってきたと言えます。

次にサービス業務における成果ですが、開館日、開館時間の拡大につなげることができました。サービスの均一化ということで専門のレファレンスライブラリアンを置いたりすることで均一で専門的、高度なレファレンスサービスが行えるようになったということが非常に大きいかと思います。教員に対しても高度なレファレンスを行える体制が整ったということでリサーチライブラリーという研究図書館を立ち上げることができたと言えます。今後の取り組みとしましては、アウトソーシングというよりは専任職員の話になるかと思うのですけれども、図書館についての全学的な位置づけとしまして新しい図書館観を構築していこうではないかということで情報社会と高度教育機関における図書館のさらなる役割の拡大に向けて大学の政策方針に寄与できる図書館組織、ITを活用した利用者を重視した学術情報サービスを展開していこうということ、先行した組織と体制作りということで、大学行政についての洞察力と企画力を養っていこうということ、学内組織での問題把握力と実践力をつけていこうということ、他大学の図書館等の動向を見まして、全体を大きくマネージメントしていく力を蓄えていこうということがあげられます。図書館職員のあり方としては大学人、図書館職員としての自覚をしっかり持とうということと図書館のマネージメント能力をアップしていこうということがあげられます。

アウトソーシングのお話はここまでになりまして、次は本学の図書館システムについてお話をさせていただきたいと思います。本学の図書館システム、通称RUNNERSという名前で呼ばれておりまして、1990年の4月に汎用機を中心としたシステム構成で稼働しております。1996年にはインターネットをベースとした高度なネットワークに対応した学術情報サービスを提供するというためにダウンサイジングしたオープンシステム化し、バッチ処理からリアルタイム処理へということ、世界への情報発信に対応するためのシステムということで再構築しております。

続いて現在稼働中の2000年4月の第3期のRUNNERSですが、こちらの方は96年の開発のシステムを継承しつつ衣笠キャンパスとびわこ・草津キャンパスと、大分にある立命館アジア太平洋大学との図書の移動を管理する学内相互利用システムの開発や24時間どこからでも利用できる、検索および資料の予約・取り寄せサービスなどを新たな取り組みとしておこなってきております。現在どれほどのデータが蓄積されているかということで表にまとめてみたのですが、蔵書データとして図書で130万件あまり、雑誌の方で書誌が38,000件あまり、カレントレコードが24,000件あまりとなっております。下の方の洋雑誌コンテンツデータベースや和書コンテンツデータベースや出版情報データベースは後ほど申し上げますけれども、こちらの方はOPACとリンクしておりまして、それぞれより詳しい情報を得ることができるデータベースなんですけれども洋雑誌コンテンツデータベース1,400万件、和書コンテンツデータベースが69万件、出版情報データベースが140万件ということでトータル1,800万件あまりのデータを蓄積しているということになっております。実際どういった図書館システムになっているかといいますと、まず利用者支援のサブシステムとしまして、今回の新システムで、利用者自身がWeb上で利用状況の確認をおこなうことができる、また予約や取り寄せをおこなうことができるというシステムがあります。あと、図書管理の方の部門なんですけれども、図書の発注・受入支払いをするシステムと目録を作成するシステム、あと雑誌全般を管理するシステムがあります。閲覧の方の部門なんですけれども、貸出返却などをする閲覧管理サブシステムと検索をおこなうOPACのシステムとILLサブシステムということで全部で7つのサブシステムということで動いております。ユーザ向けの機能ということで、先ほども申し上げましたけれども蔵書検索はもちろんのことなんですが、予約取り寄せが自分自身ですることができます。あと利用状況の確認ということで自分自身が今何冊借りているのかとか、予約している本が今どういう状況にあるのかということも確認することができます。あと洋雑誌コンテンツDB・和書コンテンツDBとOPACが相互にリンクしているということがあります。業務系のシステムについてですが、画面だけの紹介になってしまうのですが、発注入力画面と図書の受入の入力の画面と目録の画面ということになるのですが、レスポンス等の問題はあるのですが、一応全てWebで動いているという形になっておりまして、アウトソーシングも考えた上で書誌構造などを考えて開発しております。次にネットワークについてですが、立命館の中では立命館統合情報システムということで大枠のRAINBOWを呼ばれているものがあります。その中に立命館事務情報システムRISINGと呼ばれているネットワークがあります。その中に図書館システムRUNNERSのネットワークがありまして、2000年までは図書館システムはRISINGと並列の形でRAINBOWの中に存在していたために、人によっては事務の端末と図書館システムを扱う端末と複数台持たなければいけないという問題があったんですけれども、このように事務情報のネットワークにいれてしまったおかげで端末が1台で済むといった効果もあがって、今では事務のネットワークさえ繋がればどこでも使えるという状況になっております。 最後になりますが利用者の方は図書館で雑誌や新聞などの利用をこれまで通りしていただくということと、CD-ROMなどの利用もあるかと思いますが、それに加えてRUNNERSを使うことによって、いつでもどこからでも蔵書の検索や資料の予約取り寄せ、利用状況の確認をすることができます。あとオンラインデータベース、本学ではコアデータベースと名前を付けて11種類のデータベースを利用者の方に無料で提供していますが、これらを活用することによって論文やレポートの作成、就職活動のための情報収集、あと学会等学術情報の入手ということでRUNNERSを利用者が使うことによってより広がりを持っていくのではないかと考えています。今後2004年には次期システムということになるかと思うのですが、さらに様々な付加価値を考えていこうというところが現状となっています。

質疑応答

[井上]ちょっと浜田さんにお聞きしたいのですが、外国書を「PLATON」に入力しているということでしたが、外国書の中でも中国書とか朝鮮語とかそういった種類の発注データ入力をどうしておられるのかということを教えてください。

[浜田]そうですね。非常に嫌な質問ですが、中国書についてはiLiswaveの方はきちっと多言語対応になってますので目録の方は使えるようになっておりますが、発注管理の方は早く多言語対応になればいいと思うのですが、ルールを決めて要するに書店の方がわかるような形で入力をするということです。その点は発注管理のシステムと図書管理のシステムが違うということを逆に生かして、発注の方は書店と図書館が分かればいいという割り切り方、そしてiLiswaveの方は目録規則で正確にとりましょうということで、書名の取り方を敢えて一致させない、中国語もハングルでも難しく考えないというふうに今は割り切ってます。

3. 日本における書誌データの問題点

[酒井]慶應大学の酒井でございます。今日は日本における書誌データの問題点という大きな話題を頂戴いたしました。これまでも話し合われてきましたけれども、問題点の整理をいたしまして、若干の解決についての私見を述べさせていただきたいと思います。この研究会の今後の方向性を含めて、この後の討議の材料になればと思っております。まず日本における書誌データの問題点ですけれども、結論から申し上げると、日本語リソースの書誌データがグローバル化に対応していないということに尽きると思います。一つはグローバルに流通していない、もう一つはグローバルな視点での標準化がなされていない、つまり提供されていなくて、提供されていても、やはりそのままでは使えないという問題がありますということです。問題点を指摘しただけでは問題の解決になりませんので、少し問題の内容を明らかにして問題の解決策について考えたいと思います。本日の発表の概要ですけれども、なぜ書誌データのグローバル化が必要なのかを最初に確認したいと思います。そしてグローバルな書誌データに求められる要件とは何かについてを示して、実際に現在グローバル化対応がどこまで行っているのかというこを確認します。最後になぜグローバル化できないのか、できていないのか、どうしたらグローバル化ができるのかということを問題の本質と解決の若干の私見を述べさせていただくという流れにさせていただきたいと思います。なぜ書誌データのグローバル化が必要なのかということですが、2つあると思います。リソースのシェアリングとメタデータのシェアリングです。メタデータとは平たく言えば目録データと考えていただければ十分かと思います。リソースシェアリングについては皆さんご承知のように一般的な傾向です。たとえばという例を持ってきておりますけれどもアメリカのARL Association of Research Libraries 112の研究図書館からなっている団体の統計の報告に現れていますけれども、資料の高騰をリソースシェアリングで補っているという実態が明らかになっています。例えば雑誌のコスト、タイトルあたりですが86年から2000年の15年で226%増になっています。そのために雑誌のための支出が192%増になってもタイトル数としては7%しか増えていない、その分をILLの借り97%増で補っているという図式が明らかになっています。もう一つ、グローバルリソースが必要と言われていますが、本当に日本語のリソースが必要とされているのかという素朴な疑問もおありかと思うのですけれども、日本研究という確固たる分野があって日本語のリソースが求めています。これはNCCという団体が中心になってアメリカの日本語資料を多く持っている図書館の団体がありますが、そちらのリエゾンをなさっていた宮川さんという方のご発表にあったものなんですけれども、特に日本語の研究者は日本語のリソースが欲しい、ここに書かれている図書、一般雑誌、人文社会学雑誌、歴史文書、ミクロな企業情報というものを求めているというご報告されています。一方科学技術者、経営者、知識人は英語の学術雑誌、新聞、マクロな企業情報を求めている、あるいは一般の方は英語の一般雑誌、それから言語はともかくテレビ・映画・音楽・芸術といったものを求めているのであまり不自由はしていないという実態が報告されていました。やはり日本語のリソースというものが一番必要な人たちに届かないという実態だそうです。次にメタデータシェアリングの必要性なのですが、先ほど申し上げたように日本語リソースが海外でも必要とされている、ということは海外でも日本語リソースの書誌データが必要としているということが言えます。そして、もちろん海外、特に米国において、整理業務のアウトソーシングあるいはカタロガーの非プロフェッショナル化という傾向が強くなってきています。面白い報告があるのですが、カタロガーの募集広告をする時にどんなqualificationを求めるかということで、現在はカタログだけでは人を募集しません。先ほどのご報告にもあったようにアウトソーシングしたことによって管理能力というものが非常に求められている、あるいは小規模な図書館においてはレファレンスビブリオグラファーと兼ねた職業の方を募集するという傾向が報告されています。次にグローバルな書誌データに求められる要件ですが、リソースシェアリングにおける書誌データというのは同定のための書誌データですから、要件としてはアクセス可能であること、調べられることと、一貫した検索結果が出るということが必要です。もちろんリソースシェアリングということでは、その他に所蔵情報がなければなりませんし、現物を入手するための仕組みを持つツールが必要となってきます。これが総合目録としての書誌ユーティリティーであったり、それに付随してくるILLシステム、あるいは横断検索のシステムということになってくるかと思います。それからメタデータシェアリングにおける書誌データは流用するための書誌データになりますので、これはダウンロードあるいはアップロードが必要になってきています。また標準化という面でも互換性がなくてはいけません。そして、やはりデータ流用の仕組みをもつツールというものが必要となってきます。では現在どれくらいグローバル化しているでしょうかという表にまとめてみました。左側に書誌データがいくつか書かれています。日本を代表するものということで書かせていただいたのですが、まず日本の書誌を作成する公的な機関として認識されている国立国会図書館のJapan/MARCそしてTRC/MARC、それからNACSIS-CATこれは参照MARCとしてJapan/MARCやTRC/MARCの内容を使ってますけれども、オリジナルで作られたものもあります。そして個々の大学図書館のMARCではありますけれども早稲田さん、それから私どもの慶應のMARCというものを例えばということであげさせていただきます。それぞれについて詳しくは申しあげませんけれども、実際にリソースシェアリングの場合は所蔵目録が見えなければならないです。そしてILLシステムで使われていなければいけない、ということで所蔵目録とILLシステムはリソースシェアリングのツールということで項目としてあげています。そして目録システムはメタデータをシェアするためのツールです。見ていただくと分かるのですけれども、Nacsis-CATでは、早稲田さんを除いて、それらの書誌データが使われています。目録システムのところ、例えばアメリカ、日本語研究で日本語リソースを必要としている国ですけれども、こちらで一般的に使われているOCLCですとかRLINといったシステムでこれらの書誌のデータが実際に提供されているかというと、例えばJapan/MARCはテストでロードしたという実績がありますが、実際にはカレントにロードされていません。TRC/MARCについてはRLINにデータがいっています。それから早稲田さんのMARCについてはOCLCに登録されています。これらのものを除いては提供がされていません。今申し上げたように流通するための努力ということはもちろんなされています。先ほど申し上げたように早稲田さんのMARCのプロジェクトというのはOCLCのWorldcatに95年、2001年の2回に分けてデータがロードされています。計56万というユニークな書誌レコードというふうに伺っています。そして現在では毎月登録をおこなっているということです。それからJAPAN-MARCについてはテストロードが行われましたけれどもOCLC、あるいはRLINいずれも評価だけをしているというふうに聞いております。TRCについては98年に初期として91,000のレコードをロードをしています。それ以来毎週登録をされていまして2000年の段階で20万レコードというふうに聞いております。さて流通しているかという問題から、では流通した場合にどのような問題が生じているかということで互換性の問題について報告されていることを申し上げたいと思います。これは実際についてはJAPAN-MARCがテストロードがされた時、あるいは早稲田さんのMARCがロードがされる前後に渡って評価された資料がありましたので、そちらの方から報告をまとめてあります。

大きく分けて2つの問題が指摘されています。日本語に関連する問題、分かち書きですとかローマ字です。もう一つは目録プラクティスの問題です。後で詳しいことを申し上げたいと思います。まず日本語に関する問題ですけれども、分かち書きがないデータがある、あるいはあっても標準が異なるという問題が指摘されています。WINEやTRCでは260、MARC21のフィールドですが、こちらの出版事項で分かち書きがありません。もう一つにタイトルの分かちが異なるという例が報告されています。『余はいかにして基督信徒となりし乎』という内村鑑三の図書ですけれども、WINEでは7つの言葉に分かれている、しかしLC、ALAとLCの標準がございますけれども、これだと9に分かれなければいけない、そしてちなみにNACSIS-CATを探してみたらどうなっていたかというと7wordに分かれていたものと、10のwordに分かれていたものといろいろありましたということが報告されてます。もう一つの問題ですけれども記述形式でローマ字がないフィールド、JAPAN-MARCでは245$bその他のタイトルあるいは出版事項、WINEでは注記ということが指摘されています。

次の問題ですけれども目録プラクティスの問題です。これは皆さんご存知だと思うのですが、基礎書誌単位の違いということが大きくあるんです。JAPAN-MARCですとか早稲田さんの場合は物理単位を基本にしている、そして主記入の違い、これは唯一の目録規則によるものだと思いますが、ご存知のように日本のカタロギングルールでは既にメインエントリーという考え方は捨てております。しかしながら欧米で用いられているAACR2ではやはり主記入が何かということを判断することを求められています。もう一つ、主題の違いというのがあります。日本の目録プラクティスの中では主題情報を入れるというのが標準的になされてきていません。例えば早稲田さんの場合には非統制語、JAPAN-MARCの場合から来た場合にはNDLのSubject Headingが入ってる場合もあります。あるいはTRCの場合はBSH基本件名標目という非常に大まかなものだと申し上げていいと思うのですが、こちらの方がふられていますということで、例えばアメリカの方が使う場合はビブリオグラファーの場合は日本語を理解しますので、ある程度の内容の判断になるかとは思うのですけれども、カタロガーとしてやはりLCのSubject Headingを付けたいという場合には流用しても、その部分がかなりのワークロードになっているということが報告されています。もう一つワークロードが大きいものとしては典拠コントロールがあげられています。実際に典拠コントロールがなされていたとしても、海外の場合例えばアメリカの場合LCの番号が必要になってきますのでそれを検索する手間があります。ということで、実際に流用する場合には一番助かっているのは漢字のデータをオリジナルで入力しなくていいということであるという評価がくだされています。一番問題になるのは目録プラクティスの方ではなくて分かち書きがないであるとか、ローマ字の問題といったところで、実はJapanMARCとWINE両方を比べた場合にどちらがいいだろうという評価がくだされた時にいずれもそこの部分が一番問題になっているということが報告されています。

では最後にここが一番重要な部分なんですが、なぜグローバル化していないのかという問題の本質、そしてどうしたらグローバル化できるのかということについて私なりの考えを申し上げて、皆さんにも討議で考えていただきたいと思います。まず作成・流通が目的別に分断されているということです。ご承知のように先ほど5つの例をあげましたけれども早稲田さん、あるいは慶應の場合は個別のデータということが言えますが、書誌作成機関、日本のMARCというのは何なの、ということが議論になった場合に誰も答えられないということになります。そして、それは目的別に作られていて、重複した努力を省いて一本化して供給する道を探らなければいけないのだと思っております。そして日本の目録プラクティスの特異性ということですけれども、それは今申し上げましたように、もともと日本で唯一の標準的な書誌データがないというのが問題の本質です。そして目録の規則というよりも周辺の標準の違いが大きいと思います。つまり目録の規則の違いというのは先ほど申し上げた主記入の問題だけです。そこの部分というのはリソースシェアリングという点でいえば、あまり大きな問題にはならないのではないかと私は思っています。それよりもカタロガーが気にしているのは、かなり細かい部分の記述であるとか、大きな問題としては主題の部分になるかと思います。ここで一つ申し上げておきたいのは、ここの研究会で話し合ってきた、例えばキャラクターコードであるとか、MARCのフォーマットの問題ですがこちらの方は既にデファクトのスタンダードとしてUTF-8でいくんだということ、あるいは実際の実績としてMARC21でいくんだということは既に合意に達しているのではないかと私は考えておりますけれども、その他にやはり実際に提供できるかという問題と小さな細かいカタロガーが気にしなくてはいけない目録プラクティスのことになると思います。グローバルに近いものを採用していけばいいんだと思います。それはMARCフォーマットであったりキャラクターコードであると思います。それから分かち書きがないであるとか、それはフィールドについて分かち書きを作るという標準を決めてしまえばいいんだと思います。

やはり大きいのは主題の部分について、必要なデータがないというのは、やはり問題です。ここの部分は、やはり力をいれて作るという努力が必要かと思います。では。どこからその余力を生み出すのかということですけれども、さっき最初に戻って重複した努力を省いて供給の道を探るということが大きいと思います。アメリカの例であれば、LCは既にOCLCにあった書誌については作成しません。日本でも例えば国立国会図書館が先ほどアウトソーシングのお話がありましたけれども大学図書館で多く利用されていますTRCですとか、あるいは国立の大学図書館で多く使われているNACSIS-CATの中にデータがあればそれ以上作成する必要があるのかないのか、実はないのではないかと思っています。そして、この余力を主題のデータを入力するという方に振り向けていけばいいんだと思います。国立国会図書館で主題について入力している実績があります。もう一つは研究教育の担い手である大学図書館でも個人的な考えですけれども、主題にもっとコミットした図書館員が養成されてくれば、その方達が主題についてもデータを入れるということができるのではないかと思っています。以上、ここまで問題点についての整理をして、若干の私見解決策を述べてまいりましたけれども、みなさんのお考えもぜひお聞きしたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。

質疑応答

[浜田]私の事例発表と関係あるかと思うのですが、アメリカで書誌がある程度統一されているのはLCのPreMARCがあるからと思うのですが、日本はそれがないから色々みな作っています。アメリカではLCに事前にPreMARCがあるのが基本ということがあって、それが流通と発注の時に使えるとか、そのままPreMARCが引っ張ってこれるから整理の時も整理経費が日本と違ってかなり安いとか聞いたのですが、このPreMARCがアメリカにあって日本にないという違いを、もし今のお話しに関連すれば教えていただきたいと思います。

[酒井]多分LCのミッションステイトメントの中には国民あるいはグローバルのためにサービスするという目的が表されているのですが、国立国会図書館の場合は多分国会のための図書館というのが非常に大きいんだと思います。ですから実際にアウトソーシングされている方はTRC-MARCを使うということが、日本ではTRC-MARCを実際にLCのPreMARCと同じように使われいますよね。そういうことだと思います。

[鹿島]愛知淑徳大学図書館の鹿島です。いろいろ私これに関して個人的に思うこと沢山あるんですけれども主題をこれから強化していきたいということ、本当に重要だと思うのですね。NIIのメタデータデータベースのワーキングに関わらせていただいているんですが、そういう世界になってきながらもやっぱり主題が大事ということです。あと、それで共通に使えるものを模索していかなければならない中で典拠のことも問題になってくると思うのですが、固有名が主題になる時に、そうするとまたすごく複雑になってきまして、たとえばLCSHで主題を振るとしても日本人名がその中に出てきたときにLCSHというのはAACR2によって規定されていますから、ローマナイズした形で日本人名を表現しなければいけない、その時に日本語で表現できないのは日本人としてはということになり、そこで典拠の国際化といったことも考えていかなければいけないので、その部分まで皆さんの視野を広げていただきたいなぁとカタロガーとしては、ライブラリアンとしても思います。

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