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ナンバー10、2003年 目次へリンク 2003年10月31日発行
特集 電子化情報への取り組み
電子媒体に特化した文部科学省の補助金獲得について
加藤 好郎(かとう よしろう)
三田メディアセンター事務長
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 国立66大学コンソーシアム(ライフサイエンス系電子媒体購入)に,2002年度3億9千万円の予算がついたとの話を初めて聞いたのが,文部科学省(以下,文科省)から諮問された「情報科学技術委員会デジタル研究情報基盤ワーキング・グループ」の委員会の席上であった。この委員の中で,私立大学および純粋な図書館員は筆者一人だけであった。即座に,文科省の係長に「私立大学には補助金はつかないのですか」と聞くと「私立大学からは何の要望も出てきてないですよ。何の要望も上がってこないところに,補助金がつく訳ないでしょう」という官僚的な対応に,じっとこらえる筆者でありました。と同時に,「国立と私立の『学術情報基盤整備』の格差が拡大する,何とかしなければ」という思いもわき上がりました。
 国立大学図書館協議会は図書館長を中心とした「電子ジャーナルタスクフォース」を立ち上げ,出版社側(本社)と直に交渉し,価格の引き下げについて成果を上げてきた。私立も国立並の価格で購入できないものか,そのためにはデータベースを特定し,それを購入している私立大学間でコンソーシアムを組み出版社と交渉することが急務であった。
 関係機関からの情報収集の可能性の高さとコンソーシアム交渉を比較的容易にできる規模ということで,ISI社のWeb of Scienceを購入している5大学で価格交渉を始めることにした。本社ディレクターとの交渉を数回持ち,私立大学へのアンケート調査の実施そしてコンソーシアムへの参加の呼びかけを行った。その結果,価格も国立への提示額とほぼ同等になり,参加校も12校に増大した(因みに国立のWeb of Scienceのそれは15校と聞いている)。
 電子媒体購入のアンケートデータを基礎に,このコンソーシアムを目指した連合体を交渉主体として,私立大学情報教育協会(以下,私情協)と文科省への概算要求のための調整に入った。私立大学図書館協会は,法人化されていないため文科省との交渉の窓口にはなりえなかった。
 私情協は,文科省に対して当初8億円の概算要求を行ったが,決定額は4億5千万円であった(2003年度)。国立大学には,2003年度6億6千万円の予算がついている。私大の今年度予算の配分法はこれから決められるが,来年度以降も継続的に私情協と連携をはかりながら増額要求していくためには,この補助金を大いに有効活用したという成果を示さなければならない。
 2003年7月に,前述したISIのWeb of Scienceの「コンソーシアム」を拡大する形で,関西地区の4大学を新たに加えて,私立大学図書館コンソーシアム(Private University Libraries Consortium, PULC)を立ち上げた。当面の目的は,2001年度以来国立情報学研究所を通じて無償提供されているOxford University Press(OUP)の電子ジャーナルが2003年12月末をもって提供停止となるので,その対応策として,私立大学のコンソーシアムを形成し,OUPとの交渉窓口として機能させることにある。一方で,Web of Scienceの価格交渉も継続的に行っていく。この呼びかけに対して,7月末現在54の私立大学が参加の意思表示をしている。
 米国のコンソーシアムがそうであるように,日本で私大のコンソーシアムを成功させるためには,次の3つのことが不可欠であると考える。「財源の確保」,「組織の構築」,「戦略的業務連携」である。具体的には「会費の徴収あるいは補助金の獲得」,「有機的に機能する事務局の立ち上げ」,「学術情報基盤整備への本格的な取り組み」ということになる。その前段階として,私立大学図書館の教育支援,研究支援に対するコンセプトの確立が必要条件となる。国公私立大学図書館協力委員会では,ICOLC(International Coalition of Library Consortia)と同様な,JCOLCの立ち上げを考えている。この実現には,前述した各私立大学あるいは図書館における「学術情報基盤への本格的な(真剣な)取り組み」を始めることしかないと考える。
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