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MediaNet≫No.11 2004≫電子ジャーナルに関するアンケート調査結果報告
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ナンバー11、2004年 目次へリンク 2004年10月1日発行
特集 大学図書館からの情報発信―電子化情報と情報電子化への取り組み
電子ジャーナルに関するアンケート調査結果報告
市古 みどり(いちこ みどり)
日吉メディアセンター課長
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1. アンケート調査について
 全塾データベース委員会は,2003年9月22日から10月31日まで,「電子ジャーナルに関するアンケート」調査を実施した。この調査は,教員の電子ジャーナルの利用状況を把握し,今後の電子ジャーナル契約の参考とするとともに電子化に対する意見を把握することが目的であった。
 調査項目は,データベース委員会委員および5地区キャンパスの雑誌購読契約に関係している担当者の意見をもとに作成し,質問表は各地区ホームページに掲載した。このため,電子化肯定への誘導的な設問が多くなってしまった。アンケートへの協力の呼びかけについても,トップページの目立つ位置で行った地区もあれば,調査を実施していることさえ分かりにくい地区もあった。また,印刷体の質問表も同時に配布した地区もあった。このように,今回の調査は,質問内容や手続きなどについて科学的といえる方法を十分検討して行ったものではなかったため,回答の中には調査方法に関する意見もいくつか見られた。
 したがって,本稿では得られた結果のみを報告する。設問毎に設けた自由回答項目については,紙面の関係上省略する。アンケートの最後に設けた,電子ジャーナルやデータベースに関する意見・要望は,内容を分類して報告するが,個々の電子ジャーナルに関する要望,調査方法などに関する意見などは省略した。

2. 調査結果
 調査結果は表1にまとめた。回答総数は278でほとんどが利用経験のある教員からのものであった。最も利用されている分野は,医学,生物,化学,物理と自然科学系の分野であった。利用方法は,信濃町および理工学メディアセンターで個別に管理されているホームページのタイトルリストからのアクセスが最も多く,続いて,データベース検索結果のリンクによって利用されている。電子ジャーナルとプリント版の利用については電子ジャーナルがあればプリント版は使わないという回答が135あったが,併用という回答も121あった。電子ジャーナルの積極的導入については,ほとんどの回答者が積極的導入に賛成していたが,電子ジャーナルとプリント版ともに利用可能にしておくべきという意見が72あった。費用負担については慶應義塾全体で予算を確保すべきとういう回答が236あり,さらにプリント版の重複購入は塾内にあれば納得するという回答が224あった。

3. 調査を終えて
 本調査は,日頃電子ジャーナルやデータベースを利用している教員からのコメントが大多数であろうことは否めない。メディアセンターではこの数字のみを根拠として電子化を進めることはできないが,現状での問題点,図書館業務・運用の改善への貴重な意見を収集することができた。ことにアンケートの最後に設けた,意見や提案は興味深いものであった(表2)。これらの中には,さらなるタイトル数の拡大を望む声が強く,また,電子ジャーナルのいわゆるアーカイブへのアクセス希望も多かった。また,本学のオンライン利用者目録KOSMOSII-OPACによる電子ジャーナル検索など,データベース検索後に必要なステップの煩雑さを軽減するためのナビゲーションツールの開発を望む声もあった。また,キャンパス外からのアクセスを可能にして欲しい,キャンパスによって異なる利用条件の違いをなくして欲しいなど,問題解決が容易ではない要望が数多く寄せられた。こうした問題を解決するにはやはり予算確保が最大の問題である。
 慶應義塾大学のメディアセンターにおいては数年前から集中処理機構が設置され,資料の発注から目録にいたる業務はメディアセンター本部に集中された。図書館システムKOSMOSIIの機能により,利用者は地区を意識する必要なく何れのメディアセンターの資料も利用することができる。職員も地区間の異動により,業務経験を積んでいる。こうしたことを考えあわせると,メディアセンター運営の最も基本的な予算について再考・再編を行わずに,電子ジャーナル・データベースの利用契約を現状のまま各地区間の分担交渉によって継続することはもはや不合理であり,非効率ではないだろうか。各地区メディアセンターは,地区というより大学の中での位置付けを明確にしたコレクションを築き,協力体制を強化しながらサービス体制を整備する時期がきているのではないだろうか。このためには,図書館と教員との密なコミュニケーションが重要であろう。
 意見の中には,メディアセンターの努力を評価し理解を得られていることが確信できるコメントも数多く存在した。今後もメディアセンターは慶應義塾大学で学習・教育・研究・医療に携わる全ての利用者に向けて,電子情報に関する情報を流す方法を整備し,情報を発し,資料収集方針への理解を求められるよう努力する必要がある。

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