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MediaNet≫No.11 2004≫RLG-RCMへの慶應義塾写真データベース登録―デジタルコンテンツの国際流通へ―
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ナンバー11、2004年 目次へリンク 2004年10月1日発行
特集 大学図書館からの情報発信―電子化情報と情報電子化への取り組み
RLG-RCMへの慶應義塾写真データベース登録―デジタルコンテンツの国際流通へ―
沢田 純子(さわだ じゅんこ)
デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構
(2004年5月までメディアセンター本部)
全文PDF
全文PDFへリンク 16K
RLG
 慶應義塾大学は2002年10月に東アジアで初めて研究図書館連合RLG(Research LibrariesGroup,Inc)に正式会員として加盟した。RLGとはOCLCと並ぶアメリカを代表する書誌ユーティリティの一つである。1974年設立の非営利組織で,コロンビア大学,イェール大学,ハーバード大学,ニューヨークパブリックライブラリーなど,米国を中心に160館以上の図書館や博物館がメンバーとなっている。
 メディアセンターでは,1998年よりRLGが提供する総合目録データベース(RLG Union Catalog)を本学の目録データベース構築のために日々活用している。RLGに正式会員として加盟したことで,メンバーとしてRLGの研究プロジェクトの成果の利用や他のメンバー機関との協力関係を結ぶことができるようになった。

CMI
 さらに,RLGが推進するCMI(Cultural Materials Initiative)に2003年より参加し,そのデータベース製品である文化財画像データベースRCM(RLG Cultural Materials)を導入した。RCMは,図書館,博物館,美術館,公文書館などRLG加盟機関が所蔵する絵画・彫刻などの美術品,写真,図版,文字資料,映像資料をデジタル化して収集し,加盟機関の枠を超えて横断的にWeb上で場所・人物・キーワードからの検索を実現した先進的マルチメディアデータベースである。2004年6月現在,作品221,142点,619コレクションが提供されているが,データベースに登録されているデータは,学術目的であれば,CMI参加館は自由に使うことができる。利用しやすいデータになるため,データベースに登録する際には慎重な著作権処理が必要となる。データの登録前には,関連部署および関係者に対してRLGの著作権に関する方針や登録後の利用のされ方についての説明をし,登録に関して許諾を得なければならない。
 デジタルデータの国際交換に関する著作権の課題は,いろいろあるが,CMIのように,著作権について問題のないデータのみを搭載したデータベースを大きくすることによって,データの利用を促進するということは一つの解決法かもしれない。

慶應義塾写真データベース
 CMIに参加するにあたり,慶應義塾でもデジタルデータをRCMに登録することとなり,その最初の対象として選ばれたのが慶應義塾写真データベース(以下,写真DB。)である。写真DBとは1995年からメディアセンター本部が文部省の助成を受けて実施した事業で,慶應義塾(福澤研究センター,医学部,三田メディアセンター)が所蔵する写真に解説をつけてデータベース化したものである。写真は福澤諭吉の留学時代から現在のキャンパス風景にいたるまで多岐にわたり,データ数は1,563件となる。以来,慶應義塾図書館のホームページで公開されており,福澤諭吉研究者を中心に利用頻度の高いデータベースの一つである。

登録フォーマット
 RCMは多くの加盟機関が独自でデジタル化したデータを集める形をとっているので,フォーマットに厳しい規則がある訳ではなく,最終的にはRLGでフォーマットが変換されるため,登録するフォーマットの選択肢は幅広いものである。今回は写真DBのフォーマットを見直し,データ交換が容易となるようにダブリンコアを拡張したフォーマットをXMLで送ることにした。またデータ項目はRLG側の担当者とも相談の上,下記のようにした。
 タイトル(英訳,日本語,ローマ字),撮影者,件名(人,事柄,場所),解説,大きさ,撮影日,タイプ,識別番号

CMIへの登録準備作業
 写真DBをRCMに登録する準備作業は2003年5月より始められた。RCMへの登録には国際的利用を考えて,現在のデータベースの英訳が必要であったが,最大の目的は,できるだけ早く日本(語)のデータをRCMに搭載することであった。今後のCMIへの参加方法を考慮するために,登録の手順の検証だけでなく,表示や検索など日本語のデータがどのように扱われるかということは大変興味深いものであった。
 具体的には,データの質よりも効率を求めた今回の作業では,解説文の英訳作業は見送り,タイトルの英訳とローマ字化,件名(LCSH)付与の作業を行なうこととした。タイトル英訳では,正式な英語名称の分からない慶應義塾の内部組織の記述が多いばかりでなく,時代が古いものもあり,慶應義塾の写真DBとして公開する時には問題のなかった内容を補記する必要があった。たとえば「図書館新築工事」を「慶應義塾図書館新築工事」にする,といったようなことである。読み方のわからない人名について,ローマ字化タイトルや人名件名として使用するために,読み方を調査する必要もあった。また,写真に対して件名を付与する作業は,図書整理担当であるメディアセンター本部集中処理機構でも経験がなく,内容を的確に表しづらいといったようなことや,古い日本の写真に件名を付与する際に,LCSHには適した語がないといったようなこともあった。

まとめ
 今回の登録準備作業を通して,写真など画像データを検索できるようにする際の問題点や,日本のデータを国際的に利用可能にするための課題を考えさせられた。
 図書の整理業務で通常行なうような目録作業と違い,情報源も内容も明確でないため,作業する人によってデータに揺れを生じやすいこと,画像を件名で検索する際に,どのような件名が付与されているのが望ましいかという基準が曖昧であることなどがあげられる。登録準備作業はタイトル英訳,件名付与を合わせて13名で行なったが,明確なデータ作成基準がない状況での分担作業となってしまったため,写真を見る人によってデータの作り方が異なり,その調整に予想以上に時間を費やした。複数の担当者がデータに適したメタデータの付与を検討することでデータの質を上げられる反面,担当者が多くなればなるほどデータベース全体を通してのデータの作り方や語句の統一を図ることが困難となる。古いデータも含まれたため旧漢字の扱いについての問題もあった。今回は登録するデータ内で統一させたが,漢字に限らずRCM全体での統一方針が必要だと考えている。20年以上も前からメトロポリタン美術館やボストン美術館をはじめ,多くの美術館や博物館をメンバーとして共同目録作業や研究を続けてきたRLGは,これからも多くの観点からデジタルコンテンツの利用方法を開発,提供していくであろう。その中で日本語の扱いについては,残された課題も多く,さらなる検討が必要だと思っている。
 今回の登録作業は,いろいろな人の協力のもとにプロジェクト的にできたということもあり,メディアセンターの一部署の担当業務として維持するのは難しいかもしれないが,RLGのメンバーとして慶應義塾から日本のデジタルデータの登録が今後も続けられることを望む。またデータを登録するだけに留まらず,RCMを十分に利用することで学術的デジタルコンテンツの流通促進に寄与できることを期待している。
 (2004年6月現在RLGによるデータ検証中。近日登録予定)
 (2004年9月11日登録完了。編集部補記)

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