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ナンバー12、2005年 目次へリンク 2005年10月1日発行
巻頭言
メディアセンターの現状と将来について
西村 太良(にしむら たろう)
常任理事・文学部教授
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 図書館との関わりというと,私の場合には,30年以上前の三田での学生時代の印象がまだ拭いがたく残っていて,当時の旧図書館の大閲覧室,そしてレファレンスルームの雰囲気が忘れられません。当時の高鳥館長の部屋(現在の展示室でしょうか)で向かい合うようにして貴重書のページをめくった日々がなつかしく思い出されます。
 さて今回,メディアセンターの担当ということになり,6月から8月までかけて各地区のメディアセンターをはじめ,白楽,山中湖の書庫などを見学し,説明をお聞きしました。さすがにかつての学生時代とは完全に様相を異にしており,初めて目にする他地区の図書館あるいは書庫の状況もとても新鮮に感じられました。したがってまだ極めて表面的な理解でしかありませんが,いくつか気づいた点について思いつくままに述べさせていただきます。メディアセンターに長くいらっしゃる方々には当たり前のことかもしれませんが,何事も最初の印象が大事だと思いますので,お許しいただければ幸いです。
 まず第一に蔵書構成と収納の問題です。それぞれの地区の蔵書構成に特徴があるのは当然のことですが,その中でも矢上,信濃町,SFCのメディアセンターはそれぞれ独立した個性を持っているものの,ある部分共通性を持っているように感じました。すなわち電子媒体のデータベースとカレントの冊子体の資料が中心で,過去の冊子体資料は必ずしも当地にある必要はないという点がそれです。これに対して三田と日吉の場合は,人文学・社会科学系ということもあり,冊子体資料に対する需要にはまだ根強いものがあるようです。こうした各地区の蔵書構成の多様性自体が,慶應義塾という巨大な複合体の特徴とも言えるわけですが,このことは収納スペースの問題と密接な関わりを持っています。現状の各地区の収納スペースに限界があることを考えると,白楽,山中湖の書庫への蔵書の配置も含めて,それぞれの地区の特性に沿った形での中期的な展望を持った将来計画が必要だと思われます。
 このことは第二の点,すなわちメディアの形態の問題,特に電子ジャーナルとデータベースの問題にも関係しています。バックナンバーも含めた電子ジャーナルと蔵書の全文データベース化は,長い目で見た場合,図書館自体の存在をバーチャル化してしまうことも不可能ではないかもしれませんが,情報管理とコストの面で未解決の問題も多いと思われます。また過渡的には結局冊子体との併用がまだ当分続くものと予想されますが,分野的に電子媒体の割合は確実に増えていくことは確かでしょう。それは収納スペースの経過措置と当然関わりをもつことになります。対外的な関係や枠組みも含めてそれぞれにお考えをお持ちだと思いますので,いろいろな方略の得失を検討して全体の方針を定めていかなければなりません。またそれとは別にたとえば貴重書や資料のデジタル化,あるいは機関レポジトリーなどについてはITC,DMCなどとの協力関係の構築が必要だと思われます。これも現状では各地区によって状況が異なっているようですが,ある意味での統一性も必要だと考えます。
 第三にメディアセンターの学内的機能の問題があります。現状においても地区による多少の差はあっても,多くの学生たちにとってメディアセンターはもはや収納されている図書を読む場所というよりは,パソコンを使って自習,ないしはグループ学習する場所として使用されているようです。一方で研究者にとっての図書館機能の充実も求められており,これも窓口対応と電話やメールを使った対応からOPACシステムやデータベースの利用まで様々に多様化しています。もちろん現在進められている旧分類資料の遡及入力の完成も急がれています。同時に開館時間はより長く,また日曜開館も実施され始めています。これらはメディアセンターの予算と人的資源,そしてスペースの配分の今後の検討に直接結びついてくるでしょう。当然そこには専任と嘱託,一般職と専門職,そして人事異動の問題が関わってきます。
 以上,とりあえず3点ほど述べさせていただきましたが,現状として必要なことは今後メディアセンター全体としてこれらの課題についてどのような展望を持つかということだと思います。またメディアセンター内の連携を密にし,同時に学内のほかの組織部門とも協力していくことも重要だと思います。限られた資源を最大限に活用して,問題点についての共通した認識を持ち,メディアセンターの将来像を描いていただきたいと希望しております。

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