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ナンバー12、2005年 目次へリンク 2005年10月1日発行
 
RLG総合目録への書誌レコード登録と国際貢献
岡野 純子(おかの じゅんこ)
メディアセンター本部
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1.はじめに
 2004年12月末から2005年1月中旬にかけて,慶應義塾大学図書館システム(KOSMOS II)に登録されている書誌レコードのうち,1998年10月から2004年11月に作成された約33万件が研究図書館連合 Research Libraries Group,Inc.(以下,RLG)の総合目録に登録された。それ以前に作成された旧システム(KOSMOS)のレコードについては,和書誌が日本目録規則に基づいて作成されているなど,目録の取り方が異なるため,今回の登録からは見送られることになった。慶應義塾大学メディアセンター(以下,慶應)の書誌レコード登録のニュースは,瞬時に北米のEast Asian Libraryのメーリングリストに流れるなど,その期待の大きさがうかがえた。

2.RLG総合目録登録までの経緯

2.1.国際標準の採用
 そもそも,慶應における書誌レコードの国際貢献への取り組みは,1998年のKOSMOS IIへの図書館システム移行時に第一歩を踏み出した。和洋とも,書誌データベースの基本フォーマットにMARC21を採用し,目録規則にAACR IIを使用することを決め,書誌レコードの流通を考慮して,国際標準に準拠する形をとった。

2.2.RLGへの加盟
 具体的に話が動き始めたのは,慶應が,2002年10月より,米国サンフランシスコに本部を置くRLGのジェネラル・メンバーとなったことによる。RLGは,世界の主要な大学図書館,博物館など160機関以上がメンバーとなって活動している団体で,慶應は東アジアで初めて正会員として加盟し,書誌レコード(特に和書誌レコード)のRLG総合目録への提供を強く望まれた。

2.3.RLG総合目録登録に向けて
 その期待に応えて,2003年から書誌レコード提供に向けての準備を開始したが,大きな問題が立ちはだかった。慶應では,その当時,和書はTRC(図書館流通センター)が提供するTRC MARCをMARC21拡張フォーマットへプログラム変換をして流用していた。しかし,TRCとの間で著作権に関する合意に至らず,その調整に約1年間を費やすことになり,登録は一時ペンディング状態となった。結局,この問題は,RLG総合目録登録に対して特別なロイヤルティを発生させないとしたNTS(日販図書館サービス)に和書誌調達先を切り替え,NTSが提供するNS-MARCを流用することにより解決した。
 また,2003年10月からは,慶應ユーザーと,国際貢献の両方を念頭において,国際標準のSubject HeadingであるLCSH(アメリカ議会図書館件名標目表)の付与実験も開始し,目録の質の向上をはかった。
 さらに,和書誌レコードは,W:分かち,K:カナ,R:ローマ字の拡張タグを使用したMARC21ライクな慶應独自のフォーマットとなっているため,本来のMARC21で日本語処理の際に使われる880タグへの置き換えなどのプログラム開発を行い,RLG総合目録テスト環境での検証を繰り返した。

3.次なるステップ
 こうした経緯を経て,KOSMOS IIレコードの約33万件のバックファイルが,12回に分けてRLG総合目録に正式登録されたが,まだ,いくつかの課題が残されている。(ア)AACR IIに準拠していない旧KOSMOSの書誌レコードの登録の問題,(イ)ローマ字の表記(Alif,macronなど)の問題,(ウ)MARC21キャラクターセットレパートリーの問題(KOSMOS IIで使用できる文字種と,MARC21で使用できる文字種に相違がある)など,難しい問題ばかりである。
 今後も,RLG総合目録への登録は継続していくが,2005年3月に実施されたRLGのデータベースサーバ移行作業の関係で,バックファイルの登録後は一時作業を中断している。この移行作業が落ち着き次第,月1回のペースで,カレント書誌レコードの提供を予定している。

4.おわりに
 慶應の書誌レコードがRLG総合目録に登録されたという出来事が国際的に大きな反響を得たことは間違いないが,その中味については,これから評価が下されていくのであろう。
 また,書誌登録を第一段階とするならば,第二段階としては,RLGジェネラル・メンバー間との相互貸借や,Walk-in Userの受入れなど,正式なSHARESへの参加となるだろう。国際的な図書館サービスの相互協力についても考えていかなければならない時期に来ている。

図表
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