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ナンバー13、2006年 目次へリンク 2006年10月1日発行
スタッフルーム
IRMについて私が知っている二,三の事柄
森嶋 桃子(もりしま ももこ)
三田メディアセンター
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 「IRM」などと略してみたが,正式名称は「慶應義塾大学大学院文学研究科図書館・情報学専攻情報資源管理分野(Information Resource Management Course)」という。かなり長い名前であるが,「SLISの社会人大学院」といった方が通りが良いかもしれない。現職の図書館員を対象として,2004年度からはじまったもので,縁あってその一期生となり,この春,無事修了の運びとなった。
 慶應で図書館員のための大学院がはじまるらしい,という話を聞いたのは,2003年の秋のことだった。その頃,私はとある小さな国立大学の図書館で,せっせと目録をとっていたのだが,司書資格は持っていたものの,図書館学を専攻したことはなく,専門知識に不安を覚えていた。当時は時間に比較的余裕があったこともあり,ものは試しと受けてみたところ,運よく合格通知を頂き,三田のキャンパスに足を踏み入れることとなった。春を迎えたキャンパスは一際華やかで,やはり私立はお洒落だなあ,これが世に言う慶應ボーイ&慶應ガールか,とまぶしく思ったのを覚えている。その後,夜の大学院のみならず,昼間の職場まで慶應義塾にお世話になるとは,入学当初は想像もしていなかったことだったが,縁というのはつくづく不思議なものだと思う。
 さて,情報資源管理分野の一期生は,全部で14人,公共図書館と大学図書館の現職者がほぼ半々という構成であった。2年間の大学院生活で得られたことは多くあるが,最も大きかったのはこの仲間との出会いである。年齢も職場も様々な方々と,同じ学生という立場でへだてなく付き合うことができ,ベテランの方の話に視野を広げられることも多くあった。2年目になると修論の準備が本格的になり,3回の中間発表をはじめとして辛いことも多かったが,お互い励ましあい,無事全員修了することが出来た。打ち上げや旅行も楽しい思い出であり,この繋がりはこれからも大事にしていきたいと思う。
 授業は,社会人向けということで,平日(月・木)の夜と土曜の午後に行われる。特にきついスケジュールを組まなくても,普通に通っていれば修了に必要な単位(32単位)は取得できるが,2年次の修論に備えて余裕が持てるよう,1年次に多くの単位を取得する同級生が目立った。また,昼間の大学院の単位も8単位まで認められるため,土曜出勤・月曜休暇の公共図書館の方は多くこの制度を利用していた。
 7限の授業が終わるのは,定時では9時20分だが,議論が活発になると終わるのが10時近くになることもあり,先生方も大変なご苦労であったことと思う。先生によって,授業のやり方に細かい違いはあったが,各々が実務経験に基づいて発表し,それについて討議するというのが基本的なスタイルであった。一つのテーマについて話しあうことによって理解が深まり,用語や背景について知識を得ることにより,どこか遠くの世界の出来事のように思えていた図書館界の潮流が,実は自分の足元をも洗っているということを実感した。また,レファレンスの授業では,理工学メディアセンターと信濃町メディアセンターで実習するという貴重な機会を与えて頂いた。お世話になった方々にはこの場を借りてお礼を申し上げたい。個々の授業の詳細について語るスペースは残念ながら無いのだが,それぞれ個性豊かな先生方の中でも,やはり細野先生の「余談」は印象深いものであった。
 さて,IRMの目的として掲げられているのは,「図書館員を中心とした専門家に,最新の情報技術や経営管理などの知識や技能を与え,問題解決能力の向上を図ること」である。では,果たして自分がこの言葉通りにスキルアップしたのかと問われると,少し言葉に詰まってしまうというのが本当のところなのだが,今回の大学院生活をきっかけとして,こころざしは(こころざしだけにならないことを祈りつつ)持ち続けたいと思う。また,自分の職場を,利用者の立場から同時に見ることが出来たというのは良い経験であった。この視点は忘れずにいたい。
 最後に,2年間働きながら大学院に通うというのは,職場の理解や家族の協力なしには不可能であった。周囲に心から感謝したい。

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