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ナンバー13、2006年 目次へリンク 2006年10月1日発行
 
OPAC改善の動き・続 ―OPAC改善委員会―
中村 亜日香(なかむら あすか)
湘南藤沢メディアセンター
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1 はじめに
 本稿は本誌前号に掲載された“OPAC改善の動き”のその後の活動についての報告である。前号では主にOPAC改善・検討ワーキンググループ(以下,WG)がまとめた蔵書検索システムKOSMOS II OPAC(以下,OPAC)の改善点とその対応の方向について述べた。今号では改善点を実装していく活動について述べる。

2 OPAC改善委員会の役割と30の課題
 OPAC改善委員会(以下,委員会)は前身にあたるWGにおいて検討された問題点を具体的に改善・実行するため,2005年4月に発足。活動期間は1年とし,1年以内に可能な限り問題を解決していくことを使命とした。
 WGがまとめた48の要望は優先順位を考慮し,かつ1年以内の対応が可能なもの30件に絞り込まれた。
 スケジュールは利用指導に適した学期の切り替わり時期と,OPACを含めシステム全体を停止して行うサーバリプレース予定の時期に合わせて調整し,2005年4月から9月までを改修1期,10月から2006年3月までを改修2期と位置づけ,それぞれの対応案件を整理していった。

3 改修1期―時間との戦い
 委員会の召集が6月下旬開催,改修1期終了が9月下旬という時間の縛り,リプレース時期以外ではシステム停止が必要なインデックス再生成の日程は確保しにくく,失敗は許されないというプレッシャーを抱え,改修1期についての検討が開始した。
 まずはシステムの停止が必要な案件を最優先とし,次に優先度に従って実装計画を立てていった。
 短時間で効率的に検討を行うため,改修内容毎に数人ずつの検討小グループに分かれ,各グループの作成した案を委員会全体で調整する手法を取った。
 検討中に新たに浮上したものを取り込み,取り下げや先送りとするものを振り分け,内容に応じて目録ワーキンググループや全塾電子リソース委員会,全塾パブリックサービス担当者会議など各会議体との連絡調整を行った。変更そのものの検討と同時に変更後の利用者への周知にも気を配り,要望に含まれないヘルプ機能や広報手段も検討した。議論は会議の場だけでは収まらず,メール,電話などをフル稼働して意見調整が続いた。
 9月に入ると,新サーバのテスト環境でインターフェース系など一部確認可能となった。委員会メンバーにて行ったテスト環境の検証結果から新たな懸案が発生し,時間いっぱいまで検討は続いた。
 そして迎えた9月24日。KOSMOS IIからKOSMOS II+になったOPACは想定どおりに稼動した。念のため各地区で待機していた委員会メンバーもほっと胸をなでおろした(と思われる)。改修1期が無事終了した。
改修1期の主な内容
(1)インデックス系修正
(2)インターフェース系改修
 (a)簡易検索(検索窓)と詳細検索の2本立てへ
 (b)AND検索を演算子*から空白区切りによる検索にする
 (c)トップページの見直し(「ヘルプあり」「ヘルプなし」の分かりにくさ,OPACで検索できない資料の説明の問題を含む)
 (d)検索結果一覧の表示の見直し(ソート方法を増やす,ページリンクを追加するなど)
 (e)ピックアップ機能を分かりやすくするため「レコードを保存」という表現に変更
(3)検索方法の改修
 (a)電子ジャーナルを検索対象に加える
 (b)著者標目リンクの検索結果から人名件名標目を外し著者名検索と結果を同じにする
 (c)書名検索の際に著者責任表示を検索対象から外す
(4)機能の拡充
 (a)電子ジャーナルを検索対象に加える(全塾契約タイトル)
 (b)外国人名のカタカナ検索は検索対象「全て」の簡易検索で補完する
 (c)製本中の状態を表示させる
 (d)提携図書館との横断検索を試作する

4 改修2期―様々な視点
 改修2期は元々の予定案件に,改修1期で先送りにしたもの,新たに発見されたバグ対応を追加して行われた。
 10月は改修1期のバグチェックに明け暮れ,11月にインターフェース系改修の検討に着手した。改修2期には予てから修正要望の声の多いトップ画面の改修が含まれており,様々な立場や見方があり議論百出となった。トップページは約9ヶ月におよぶ議論の末,現在の形にまとめられた。
トップページの主な改善
 ・2つの検索入口ボタン(ヘルプ画面つき/ヘルプ画面なし)があることによる混乱を無くす
 ・トップページ内に検索機能を融合する
 ・メインカタログとサブカタログの関係を視覚的に表現する
 トップページ以外の部分についても利用者への配慮を入れた文言の変更,位置の修正などを検討し,新年度に合わせて3月末にリリースされた。これと同時に改修2期は終了を迎えたが,改修2期の影響を考慮し,半年の委員会任期延長が決定した。
改修2期の主な内容
(1)インターフェース系改修
 (a)トップページ(慶應義塾の蔵書)の改訂
(2)目録データの改修
 (a)ゲタ文字(〓)を表示可能な文字に置き換える
(3)機能の拡充
 (a)貸出予約状況照会を可能にする(OPACの機能ではなく「慶應義塾共通認証システム(keio.jp)」に搭載)

5 おわりに
 KOSMOS II OPACとしての改修は2006年3月をもって一旦終結した。当初かかげられた30の要望は大枠でほぼ搭載され,遅れている感が払拭できたのではないだろうか。ただし,細部についてはシステム,データ,運用の面から判断し,時期システムのKOSMOS IIIへ課題を残すこととなった。
KOSMOS IIIへの主な課題
 ・予約・ILL・購入希望などの申込機能との連携
 ・目次情報・書評・利用者コメント機能
 KOSMOS III導入は2008年を予定しており,検討時間は残り2年を切り,次世代サービス検討委員会が組織され,着々と検討が始められている。システム,データ,運用の問題は一朝一夕で結論が出るものではないため,限られた時間内での解決には困難が予想される。求められる期限と条件のなかで,何を最も優先すべきか,そのためには何を犠牲にすべきか(しなくてもよいが)を選びとっていくのが一番大事なことなのではないかと,この1年で学んだように思う。
 KOSMOS IIIへの期待とともに,多少の差はあるにしても全ての図書館スタッフが改修に関わったKOSMOS II+OPACを交代の時まで使い込んでいただきたいと願っている。

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