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ナンバー13、2006年 目次へリンク 2006年10月1日発行
ティールーム
Wiredな図書館利用
門川 俊明(もんかわ としあき)
医学部内科学教室助手
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 私が大学院に入り,研究者としてのスタートを切った15年前は,ようやくインターネットが使用可能になった程度で,まだメールによるコミュニケーションも一般化していないような時代だった。大学院生だった私の日課は,午後の眠くなりそうな時間に図書館に向かい,新着ジャーナルを手に取り,自分の研究に関連した論文が掲載されていないか調べることだった。何でもかんでもコピーしないと気が済まない性格の私にとっては毎月のコピー代も馬鹿にならない金額になった。
 この15年の間にインターネットが普及し,私の図書館の利用スタイルも大きく変化した。もっとも大きな変化は,図書館に行かなくなったことである。現在では英文の医学生物学系のジャーナルのほとんどがPDFファイルを提供するようになり,研究室のコンピュータからダウンロードすることができる。おかげでコピー代はほとんどゼロとなったが,私はディスプレイ上で論文を読むのが苦手なので,結局,PDFファイルを印刷することが多く,資源の節約には結びついていない。
 大学院時代の私の日課であった図書館通いは,eTOC(electoric Table of Contents)アラートサービスの普及によってその必要がなくなった。自分が毎回目を通しておきたいジャーナルのeTOCアラートサービスに登録しておけば,そのジャーナルの新しい号が発刊されると,目次がメールで送られてくる。ジャーナルが実際に図書館に郵送されるのを待つ必要もないし,見逃すこともなく,最新号の目次が手に入る。eTOCアラートサービスを利用するには,各ジャーナルのサイトに行き,eTOCサービスを見つけ,メールアドレスを登録するだけである。必ずしもすべてのジャーナルがeTOCサービスを提供しているわけではないが,一流誌と呼ばれるジャーナルのほとんどが提供している。
  お気に入りのジャーナルの目次だけチェックしていても,まったく関係のないジャーナルに自分の研究に関連した論文が出ることもある。こういった見逃しをなくすためには,定期的に特定のキーワードでPubMedの検索をおこなえばいいわけだが,それを自動で定期的におこない,見つかった場合にはメールで知らせてくれるというサービスがある。このようなサービスを比較的早くからおこなっていたのは,BioMail(http://www.biomail.org/)である。BioMailでは,PubMedで検索したい検索式を最大20個登録することができ,定期的に(週に1回,週に2回,月に1回,月に2回から選べる)検索をかけて検索結果をメールで知らせてくれる。2005年になって,PubMedを運営している本家本元のNCBIが同様のサービスを始めた。My NCBIはPubMedの検索式が保存できるサービスであるが,その検索結果を定期的にメールで送信するサービス(automatic e-mail updates)が開始されたのだ。Automatic e-mail updatesサービスがBioMailと比べて優れているのは,
・検索頻度が1日に1回から月に1回まで細かく設定できる。
・文献データだけでなく,NCBIデータベースのすべてのデータが対象になる。
・検索語の数の上限が100(BioMailは20)。
・本家がおこなっているという安心感がある。
といった点である。一方,BioMailと比べて劣っているのは,
・検索語の数だけメールがくるので鬱陶しい。
という点である。私は,この点で現在はBioMailの方を愛用している。
 このようなサービスのおかげもあって,今では図書館に足を運ぶ機会はめっきり減ってしまい,Wiredな利用が中心になっている。日本語のジャーナルのPDF化は遅れているが,学会誌を中心に昨年あたりからだいぶPDF化が進んできた。書籍に関しては著作権の問題もあり,電子化されるのはだいぶ先になるかもしれないが,10年後を考えた場合,図書館が本を所蔵する場所ではなくなっている可能性もあるのかもしれない。

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