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ナンバー13、2006年 目次へリンク 2006年10月1日発行
 
Webサイトのコンテンツ管理事例報告
浅尾 千夏子(あさお ちかこ)
湘南藤沢メディアセンター
村田 優美子(むらた ゆみこ)
三田メディアセンター
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1 はじめに
 図書館のWebサイトは,新着情報や利用案内といった広報的内容から,資料検索やオンラインリクエストなど,もう1つの「図書館の入口」としてその役割を広げている。
 5つのメディアセンターではそれぞれにWebサイトを運営しているが,三田メディアセンター(以下,三田)と湘南藤沢メディアセンター(以下,SFC)では,2005年度にWebサイトのリニューアルを計画していた。それまではコンテンツの増加や更新をタイムリーに行うには人手と時間とスキルを必要としていたため,更新作業の軽減化が望まれてきた。今回のリニューアルではこうした問題への対応としてコンテンツ管理システム(以下,CMS)の導入を試みている。本稿ではそれぞれのCMS導入についてレポートする。

2 事例報告:三田
 三田のWebサイト(参考文献1)リニューアルは2002年以来である。この間にコンテンツが増加したことでトップページの項目が多くなり,OPACやデータベース一覧など,利用頻度の高い項目が探しにくくなってしまっていた。また,メニュー項目の追加や変更のたびに,関連する全ページのメニューを1ページずつ修正する作業に追われていた。スキルのあるスタッフに負担が集中することも改善すべき点であった。
 そこで今回のリニューアルでは,(1)アクセスログの解析や利用者へのヒアリング結果をもとにトップページに配置する項目を絞り込み,デザインをシンプルにする,(2)CMSの導入によって,デザインやメニュー項目の変更に柔軟に対応でき,かつWeb作成スキルのないスタッフでも簡単に更新できるようにする,という2点を目指した。
 CMSは,商用製品の導入や独自制作などの方法もあったが,検討の末,Plone(参考文献2)を選択した。Ploneはオープンソースで,無償ではあるが高機能なCMSである。とくに海外では政府系機関や企業,教育機関をはじめ多く使用されており,日本でも使用例が増えてきている。Ploneの特徴として,次のような点が挙げられる。
・Webブラウザ上で,HTMLタグを入力せずページ編集が可能。
・ユーザ,グループ管理に優れており,各コンテンツに対しての編集制限も設定できる。
・ページの作成,審査,承認,公開というワークフローが装備されている。
・ナビゲーションバー,ポートレット(左右のボックス要素),サイトマップが自動で処理される。
 導入を決めてからは,実際にPloneを試用してみたり講習会に参加したりするなどして,基本的な使い方について理解を深めた。コンテンツの登録や更新程度であれば,それほど難しくはなく,だれでもすぐに使えるようになると思われる。
 しかしこの機能が豊富なPloneを使いこなし,見た目や機能をカスタマイズするには,そのベースとなるZope(Webアプリケーションサーバ)やPython(オブジェクト指向のスクリプト言語)などについての技術管理者レベルの知識が必要となる。
 そこでシステム導入やサーバの構築・運用・パフォーマンス調整についてはメディアセンター本部システム担当に協力を要請し,また,デザインテンプレートやニュース・カレンダー登録システムの開発・カスタマイズ,コンサルテーションをシステム開発会社に依頼した。
 本格的にサイト構築に着手したのは2006年1月。実際に導入やカスタマイズを始めてから気づいた様々な問題点や制約があったものの,開発会社と本部システム担当の迅速な対応に助けられてCMSのカスタマイズが完了し,リニューアルしたWebサイトを5月15日に公開することができた。公開後すぐにメニューの変更や新規コンテンツの追加が発生したが,これまでより速く簡単に対応でき,CMSの利便性を実感している。今後も,要望や変化に柔軟に対応できるWebサイト運営に努めたい。

3 事例報告:SFC
 SFCWebサイト(参考文献3)のリニューアルは,1999年の改修以後に生じたフレーム構造によるコンテンツの探しにくさ,サービスルールの変更に伴う既存のプログラムとの齟齬を解消すること,サイト運営に携わるスタッフの労力軽減を目的として行った。またユーザニーズの高いアクションが伴うページに重点をおき,施設予約,開館情報,KOSMOS簡易検索,電子リソース検索等の機能部分を中心としたトップページデザインとすることで「すぐ使える」サイトを目指した。同時に今後の全塾的な流れを考慮し,サイトをこれまでのSFCキャンパスのサーバから,メディアセンター本部管理のサーバへ移行した。
 以下にSFC独自の管理/運営システムについてまとめた。
(1)動的ページのコンテンツ管理
 ここでの動的ページとは,日々の更新頻度の激しいコンテンツを指す。機能ごとに3つの機能管理システムメニューを構築した。
・施設予約システム
 利用者が直接Web上から,メディアセンターの各施設(AVホール,音響・映像スタジオ,ビスタルーム)への予約,キャンセルをすることができるシステム。管理側からは,各施設の鍵の持ち出し状況や実際に利用者が施設を利用したかどうかの確認ができるようになっている。
・開館情報管理システム
 月ごと,1日ごとの開館設定登録・変更が可能であり,月間カレンダーと,各日イベントを掲載する週間カレンダーがこのシステムに連動している。
・トピック,イベント,ニュースコンテンツ管理
 TOPページとイベントページ(週間カレンダーページ)に掲載されるトピックやイベントのお知らせや,ニュースをアップするシステム。各ニュースの掲載順の変更や掲載日設定,ログの再利用ができる。また,今後リニューアルを予定している英語版サイトもこのシステムを使ってトピック,ニュースをアップできる仕組みとした。
(2)静的ページのコンテンツ管理
 静的ページとは,ここでは閲覧(テキストが主である)ページを指し,Six Apart社のWeblogシステムであるMovableType(参考文献4)を管理システムとして採用した。MovableTypeは,Webブラウザからコンテンツを簡単に管理できるCMSとしての役割も果たし,各ページの変更やカテゴリ新規作成が専門的知識を必要とせずに容易に編集作業ができる。
(3)その他の機能
 まず,ユーザ側に更新情報を公開するRSS機能(RSS2.0)を設置した。対象領域はニュース部分(トピックス,イベントを含む)である。また管理側の機能として,開館情報を元にした各開館・休館日数の統計,施設予約件数と利用時間の集計ログをCSV形式で出力する機能を付与し,スタッフの関連作業の軽減を図った。

4 終わりに
 今回三田およびSFC地区でのWebサイトコンテンツ管理についての事例報告をまとめた。現在,Web上の新しいサービスやシステム機能の追加は頻繁であり,Webサイトの新陳代謝は加速している。その中で現ユーザの利用動向に合った,かつ合理的なサイトの運用運営に努める必要があると言えよう。今回の2地区の経験が,今後の全塾的な統合Webサイトの運用を検討するにあたって参考になれば幸いである。

参考文献
1)慶應義塾図書館(三田メディアセンター).(オンライン),入手先<http://www.mita.lib.keio.ac.jp/>,(参照2006-07-03).
2)Plone.(オンライン),入手先<http://plone.jp/>,(参照2006-07-03).
3)湘南藤沢メディアセンター.(オンライン),入手先<http://www.sfc.lib.keio.ac.jp/>,(参照2006-07-03)
4)MovableType.(オンライン),入手先<http://www.sixapart.jp/movabletype/index.html>,(参照2006-07-03).

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