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ナンバー14、2007年 目次へリンク 2007年10月1日発行
 
映像表現リテラシー習得を支援する
―SFCメディアセンターにおけるAV機材貸出サービス―
角家 永(かどや ひさし)
湘南藤沢メディアセンター
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1 はじめに
 湘南藤沢メディアセンターマルチメディアサービス担当(以下マルチメディアサービス)は,メディアセンター内におけるオーディオビジュアル(以下,AV)機材の貸出や視聴・編集環境の提供,加えて,キャンパス内の教室AV環境の維持・利用サポート,遠隔授業支援といったサービスを提供している(参考文献1)。ここではその中からデジタルビデオカメラ(以下,DVカメラ)を中心とするAV機材貸出サービスについて紹介する。

2 サービスの開始
 機材貸出サービスは,SFC開設から2年後の1992年にHi8, S-VHSC規格のビデオカメラの貸出からスタートした。編集環境も同時に提供が開始され,1994年にはMacintoshでのノンリニア編集が可能となった。サービス開始から4年後の1996年にDVカメラ,デジタルスチルカメラが貸出機材に加わり,さらに1999年度から2001年度にかけてアナログベースの撮影・編集環境からDV規格をベースとするデジタル編集環境への移行が行われ,現在まで続くサービス環境が整備された。

3 現在のサービス体制
 機材貸出は,メディアセンター内に設けられた専用のカウンターで行っている。サービス時間は開館から閉館30分前まで,学期期間中は学生アルバイト2名が常駐し,休業期間中はスタッフが対応にあたる。
 DVカメラ約100台を中心に,デジタルスチルカメラ,デジタルレコーダー,録音用マイク,三脚,各種ケーブルなどを揃えている。SFC所属者への貸出期間は学生が3泊4日,教職員は1週間。学習活動や研究活動のため長期利用を必要とする場合には,教員の申請をもとに希望に応じている。
 また,メディアセンター内には2つの専用のスタジオが設けられ,照明機材やブルーバックスクリーンを利用しての撮影や,ナレーションやボーカル録音が可能である。
 撮影・録音された素材をもとにコンテンツを制作する環境として,映像編集・音楽制作用の専用PCがメディアセンター内に約20台,教室に約80台設置され,教室では授業時間を除き24時間いつでも好きな時に利用することができる。

4 利用状況
 年間約5,400件,点数にして約8,600点を貸し出している。学期末に向けて貸出が増え,春は6, 7月,秋は1月にピークを迎える。
 利用者数は年間約1,500人で9割が学部生。SFC所属の学生の約3割がサービス利用経験をもつ。
 利用目的では,授業や研究会といった学習活動目的での利用が約半数を占める。デザイン言語ワークショップなどの映像・音楽を扱った授業だけでなく,外国語授業でのプレゼンテーション手段として,また社会調査・環境調査における実世界からのデータ獲得手段としての利用も多くみられる。
 機材別では,デジタルビデオカメラの貸出が最も多く全体の半数近く(年間延べ約4,000台)を占める。

5 機材選定
 導入する機材の選定にあたっては,翌年度予算申請に向けて,まずはマルチメディアサービスで利用統計や普段目にする利用状況,業界動向などを参考に案を作成する。その後,利用の多い授業や研究会を担当する教員へのヒアリングを通じて導入すべき機材の種類や方向性を確認し,最後に各種委員会に諮り承認を得る。こうしたプロセスを経て,2005年度には新たに業務用撮影機材の導入を行った。導入後は,授業での利用に加え,映画フィルムに近い撮影が可能な機能を有していたことから映像制作に関心をもつ学生の利用を呼び,年間約1,000回にのぼる利用があった。
 翌2006年度には,民生用のハイビジョン規格であるHDV規格で撮影可能なカメラの登場を受け,同規格対応の業務用カメラを導入している。同時に,ITC主導での編集環境の刷新も行われ,ハイビジョンでの撮影から編集そして視聴までが可能な環境を提供している。
 撮影機材に関してメディアレス化への対応が次のターゲットとなる。ハードディスクやメモリーへ直接記録し,テープやDVDといったメディアを必要としない機材の導入により,これまでは実時間を必要とした編集前の映像の取込みが大幅に短縮され,その分の時間を編集作業など,質を高める作業に費やすことができる。

6 利用支援
 機材の利用支援サービスについては,学生アルバイトの活躍に頼るところが大きい。彼らは機材の貸出・返却業務にあたるだけでなく,開館から閉館までの1日14時間近く,カウンターを相談窓口に利用支援にあたっている。また,1994年より学生主体で編集発行されてきたAVガイドは,機材の使い方から編集ソフトウェアの使い方までSFCで提供されるマルチメディア環境を体系的に理解することができるツールとして大きな役割を果たしてきた。予算削減の影響もあり,2004年度を最後に冊子体での刊行を中止していたが,今年度ようやくウェブを利用した形でガイドの提供を再開する予定である。
 その他には,初心者への利用機会提供を目的に講習会を開いている。月2回の録音専用スタジオの利用講習会には毎回受講申込が寄せられている。今年度新たな試みとして企画したノンリニア映像編集の講習会にも定員を超える受講申し込みが寄せられた。企画を知った教員から授業向けにアレンジした講習会の依頼が舞い込むなど,高い需要が見込まれ,今後重点を置いて取り組む必要がある。

7 課題
 日常的に大変良く利用されている機材貸出サービスだが,課題も残る。最も大きな課題は,機材が故障や破損あるいは紛失となった場合にかかる高額な弁償金である。現時点では,利用者の責任において発生した損害については,その復旧費用の負担を利用者に求めている。授業や研究において必要とされる高いレベルの要求を満たすためには,導入する機材も高価なものにならざるを得ず,故障時の修理費用が学生の立場から考えると高額となるケースが発生する。機材の多くはリース契約により導入され動産保険がかけられているが,こうしたサービスで発生する障害が保険の適用範囲である場合は少ない。ごく希ではあるが機材が全損状態で復旧が不可能な場合など,十万円を超える請求が発生するケースもあり,今後は公平性を確保した中で,免責金額を設定し残りの費用を大学側で負担するなど,学生にとって安心して機材が利用できる環境を整える必要がある。

8 おわりに
 大学として,学生が同じ4年間という時間を過ごすなかで,いかに他の大学にはない環境を提供し,学生の能力を高め,アドバンテージをもった状態で社会に送り出すことができるかが,ひとつの勝負ではないだろうか。業務用撮影機材の導入も,ハイビジョン規格への対応もそのためにある。You Tubeに代表されるように今では映像表現による情報発信があたり前であるが,その十数年も前から,リテラシーとして映像表現能力を習得できる環境を当たり前のサービスとして提供してきたことには大きな意義がある。未来からの留学生であるSFCの学生にとって今必要とされる環境が何なのか,常に数歩先を考えこれからもサービスに取り組んでいかなければならない。

参考文献
1)関秀行.“SFCにおけるマルチメディアサービス”.MediaNet.no.9, 2003, p.41-43.

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