MediaNet メディアネット
ホームへリンク
最新号へリンク
バックナンバーへリンク
執筆要項へリンク
編集員へリンク
用語集へリンク
慶應義塾大学メディアセンター
メディアセンター本部へリンク
三田メディアセンターへリンク
日吉メディアセンターへリンク
理工学メディアセンターへリンク
信濃町メディアセンターへリンク
湘南藤沢メディアセンターへリンク
薬学メディアセンターへリンク
ナンバー15、2008年 目次へリンク 2008年10月1日発行
巻頭言
図書館機能の未来像
福田 恵一(ふくだ けいいち)
信濃町メディアセンター所長
全文PDF
全文PDFへリンク 160K

 1995年,理化学研究所の講習会で初めてインターネットに触れた。その時の講師の先生から『10年後の日本の経済,産業,文化,社会機構は今とは全く違った構造になります』と教えられた。果たして10数年を経過した今,日本の社会は大きく変わった。書籍,新聞,雑誌の購読は次第に減り,インターネットを通じた情報の入手が中心となった。これに伴い図書館機能も大きく変化し,来館する図書館から情報を外に発信する図書館が求められるようになった。特に理工系,医歯薬系の図書館ではPubMed等の情報検索機能とオンライン雑誌の利用により,最新の情報・知識を利用者に提供し,研究・教育に活用してもらうのが主たる機能となった。
 インターネットがもたらしたこの時代の変化は,是非は別として加速することはあっても逆戻りすることはない。それでは,これに対応する図書館はどういう形態が相応しいのであろうか?これまでは理科系の大学の図書館は雑誌の書庫が大きな場所を占めていたが,今後は書庫のスペースを減らしてコンピュータを備えインターネットで自在かつ快適に文献を検索するエリアを増やすことが必要であろう。学生すべての座席を確保することは困難であるため,備え付けのデスクトップのコンピュータの他に,図書館内外に無線ランエリアを作り,学生が自由に自分自身のコンピュータを使用できるエリアを増やす必要がある。こうした取り組みはインターネット時代の図書館の第一段ステップというべきもので,言わば『受け身』の取り組みである。それではインターネット時代の図書館の第2段階の取り組みとは何であろうか?私は,図書館が利用できる仕組みをすべて網羅し,外に向けてインターネットを介した情報を発信することであろうと考えている。その取り組みの一つが『KOARA』であろう。
 慶應義塾大学病院(以下,慶應病院)は学生(医学部,薬学部,看護医療学部),教職員の他に,多くの患者さんとその家族が施設を利用する。これまでは図書館は前者にしか関わってこなかった。これに対し,欧米医学図書館は10年以上前より既に患者向け図書館や医療情報エリアを設置し,本邦でも一部の病院ではこうした取り組みを開始している。信濃町メディアセンターでは新たな取り組みとして,外来患者健康情報エリア(仮称)を設置することを決め,現在設立準備中である。慶應病院の正面玄関の入り口近くの一等地(薬剤部横)に専用エリアを確保し,コンピュータ7台と専用プリンタを設置する予定である。外来患者とその家族は深刻な病気を抱えて大学病院を受診する。自分の病気に関する医学情報,診断法,検査上の注意,治療法,医薬品情報,副作用情報,生活上の注意,患者団体,医療費補助等の情報をホームページとして載せたり,他のページへリンクさせる予定である。また,慶應病院で現在施行されている臨床治験を紹介したり,関連する病院や地元の医療機関に紹介する際の病診連携にも役立てることが出来るであろう。患者さん向けの優れた書籍を紹介したり,慶應病院の先生方が執筆された本を紹介したりすることも考えている。書評を掲載することにより,患者さんが安心して病院に掛かれる環境を作り出したい。また,慶應の図書館所蔵の浮世絵や他のキャンパスの写真,慶應義塾発展の歴史などのフラッシュ画像を大型スクリーンで見せることも検討している。慶應病院は日本有数の外来患者を抱えているが,待ち時間が長いことや病院の構造が複雑であることなど問題点も多い。医学・医療情報を正しく伝えるとともに,患者の満足度を増すことこそ,世界を先導する大学の21世紀の新たな図書館像になるのではないかと考えている。

 PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です このページのトップへ戻る
メインナビゲーションへ戻る
Copyright © 2008 慶應義塾大学メディアセンター All rights reserved.