質疑応答
[佐藤]丸善佐藤でございます。森山さんにちょっとお伺いしたいのですけれども、デジタル岡山大百科ということで一つのコンテンツを作る作業が進んでいると思うのですが、ターゲットというか、誰が使うかというところ、現状では国内向けという形になるかと思うのですが、知っている県立図書館の方に聞いたことがあるのですが、日本研究という分野においては、日本の地方の図書館に海外からレファレンスの要求が入ったりするということを聞いたことがあるのですが、例えば岡山ではいかがでしょうか。最近増加するとか、ほとんどないとか、もしご存知であれば教えて下さい。
[森山]メールが入ってくることはあります。メールが入ってきて、このことを知りたいけれど、日本に関する公開情報が限られているので、どうしたらいいかといった調査方法のレファレンスメールが舞い込むことがあります。
[入江]今日はTRCの渡辺さんがいらしていただいています。前回同志社の話の時に日本の目録を効率的に作れないかという話がありまして、TRCの書誌をベースに何かできないかという話がありました。一言いただければと思います。
[渡辺]TRCの渡辺と申します。以前からホームページやメーリングリストは見させていただいていたのですが、やっと部署的にも落ち着きまして、今回から参加させていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。基本的にうちは通常の民間企業でございまして、コストパフォーマンスを考えないわけには参りません。また日本の目録を効率的に作るという観点では、現在学情さんの方へ新刊マークはある程度範囲を限定して提供しております。ですからその経路を変える事によって効率化が図れるのであれば検討できると思うのですが、私の独断では決定できませんので次回までに検討してきたいと思います。
[入江]横山先生がメーリングリストで総務庁に関する話をしてくださいましたが、何かご発言は。
[横山]国立国語研究所の横山でございます。この前メーリングリストで少し皆さんにおたずねした件がございまして、私どもの研究所は文化庁の研究所でございまして、文化庁には博物館とか美術館が所属しております。私がこの研究会に参加させていただいた目的は、実は図書館さんがいろいろな書誌目録のデータベースの標準を作ろうという話と、博物館とか美術館が持っている所蔵品の目録の問題は同じ視点というか、まとめて考えた方がいいのではないかなと昔から考えていたわけです。そこのところに日本語の問題というのがどうしても出てきますし、漢字の問題も絡んできます。東京国立博物館の所蔵目録のデータベースをみますと、所蔵品の名前が全部欠字に、全てがゲタ文字になっているというふうなものもあります。それでは何のためにデータベースを作っているのかよく分からないということがあります。そこら辺を全部横断検索できるようなシステムを文化庁としても作っていかなければいけないということで、いろいろな計画を進めてきたわけです。そうこうしているうちにE-JAPANという大きなプロジェクトが走り始めまして、その中で内閣官房のIT戦略推進室の肝いりで総務省が全国約2500の図書館、博物館は4200、美術館は1000館の全部を横断検索をできる窓口のサイトが立ち上がるという報道が朝日新聞で10月31日に流れました。私はそれを見た時に、同じようなことを考えているんだなというふうに思いましたが、技術的な問題もございますし、著作権の問題などなどいろいろな問題もあるはずなのに、どれくらいの覚悟で取り組むのかなと興味を覚えまして、このライブラリーシステム研究会の方々におたずねしました。いろいろな方から情報をいただきまして、ありがとうございました。私どもも文化庁に情報提供をお願いいたしまして、文化庁としても協力するということで、地ならしが済んだ上で動いているということでございます。がしかし、先日図書館総合展でNDLさんがデジタル図書館構想とかお話をしてくださいまして、総務省のプロジェクトについてはどのようにお考えですか、というふうにおたずねしたんですけれども、寝耳に水ということでした。何を申し上げたいかと申しますと、先ほど皆さんのご発表の中にもあったかと思いますけれども、ばらばらに同じようなことをあちこちでやっても非常に無駄なのではないか、できればいろいろな動きを一本化してやった方がいいのではないかと思います。
[入江]韓国と提携して図書館システムの話ができれば、羽山さんお願いいたします。
[羽山]日立製作所の羽山でございます。韓国のLG社と提携してパッケージを作るというのは事実でございます。第一弾は大学の事務システムでございまして、その後、大学内で使われるパッケージをいくつか揃えていこうという計画ではございます。ただ図書館パッケージについては、今のところ自社内で開発するものをメニューの一つとしていますので図書館パッケージについては該当外というのが実状です。
[入江]ここでメディアセンター所長の細野が参加してますのでご挨拶をお願いしたいと思います。
[細野]慶應の細野でございます。このライブラリーシステム研究会という話を入江さんから聞きまして、私も個人的には、随分昔は、こういうことに興味を持っていたわけです。時代が随分経って、今の時代では、どういうことになっているのかなぁということで、できれば積極的に参加したいと思っていたわけです。ところが運が悪いことに、この研究会がある日は、いつも何か仕事があって参加できない、この前同志社でもあったかと思うのですが、せっかくですから同志社まで行って、その後京都でも見てこれるかな、と非常に楽しみにしていたのですが、それもだめになってしまいました。今日は最初から出席できると楽しみにしていたのですけれども、たまたま授業の振り替えということで月曜の授業をやらなければいけないということで、なかなか出られず、最後のところだけでも出ようとお邪魔いたしました。最後の3人くらいのところしかお聞きできなかったのですが、時代を感じました。私の若い時はマークの話もLCのMARC、今は21になっていますが、それが具体的にシステムでどういうふうに使えるかということで、非常にプリミティブな話を一生懸命やっていたわけですね。そこからカードをどうやって打ち出したらいいかとかですね。今から考えると信じられませんが。今日のお話はちょっとしか聞きませんでしたけれど、OPACという環境下でMARC21をどういうふうに考えたらいいのかという話も出てましたし、横断検索ですとか、最後はILL MANAGERとか、非常に広がってきているということを強く感じました。そういうことで、こういう研究会というのがますます続くというのは非常にいいことだと思いますね。それからこんなに多くの方が参加されているとは思わなかったので、びっくりしました。一つは希望といいますか、注文があるのですが、いろんな立場の方が参加されている、大学の方もおられれば、企業の方もおられるということで、場合によっては立場が微妙になるのかもしれませんが、せっかくこれだけの研究会ですので、できれば何かこうプロダクトを具体的な、例えば新しいシステムができるとか、そういうところまで試行していただければと思います。つまり、我々勉強しなければならないことが多いわけでキリがないわけです。それを踏まえて部分的でもいいですから、何か今までとは違った新しいシステム、そういったものがここで提案できる、実装までいくというようなところまで考えて進んでいただければ、本当の意味でのR&Dということになるんじゃないかと思いました。そのような活動を期待しております。私はそこまではInvolveできませんけれども勉強だけはさせていただきたいと思いますので機会がありましたらこれからもださせていただきたいと思います。幸いにも次回は休み中ですので、最初から出られるのではないかと思っています。これからもよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
[入江]一応この会を始めるに至って1年間でアウトプットを出そうという話がありました。昨年の9月に第一回の研究会が開催された時に、一年間で日本におけるZ39.50の標準なり推奨プロファイルを作るということ話をさせていただきました。一応今日の酒井さんの話と前々回のプロファイルについての合意の活動に入ろうと思います。
もう一度、背景と考え方と目標について確認させていただきたいと思います。この研究会の最大の問題は、図書館と図書館システムのグローバル化がすすんできている、これに対して僕らが対応しないといけないという危機感と、図書館そのものが職員も減ってきて力がなくなっている中で何とかしなくてはいけないという危機感があったからです。近い将来図書館システムはどの国のパッケージを持ってきても、基本的に動くという時代になってくると思うので、その準備をしたいと思います。そのためにNGO的な共同作業をインターネット上で作り上げたいというのが目標だったと思います。一年間の成果の中では、NIIさんのご努力もありまして、NIIさんが動くと日本の大学は動くので、流れができて、パッケージ実装が進んで、先ほどの森山さんのアンケート結果でまとめられたように、去年の9月には考えられなかったような状態ができてきたと思います。NIIさんの動きに合わせて、活動してきたことは意味があったと思っています。
これからの課題はいっぱいあります。ただ研究会は研究だけしても仕方がなくて、先ほどの木下君の話にもありましたが、周りを変えなければいけない、そして周りを変える時には図書館がしなければならない努力はとても大きいと思います。
活動形態は一年間が目標だったこともあり、三ヶ月に一回にこういう会を持ってきましたが、Z39.50についてはある程度まとまってきましたので、これからの活動の仕方は考えたいと思います。ただ研究会は発言型にしたいというのが始めからの思いで、一回目の後に石田さんのメールをたくさん出し始めた時に僕らはついていけなかったという苦い思い出がありますので、研究をしていろいろ発言をしていくということを中心にしていきたいと思っています。みなさんの発言をベースに物事をまとめていきたい。たぶんここにいらっしゃるみなさんは石田さんのメールのタイミングをご存知だと思いますが、回答がガンガン返ってきてしまって、ZIGにしろ何にしろ、それくらいメールが走る訳で、僕らの弱さはありますけれども、具体的に発言して現実を変える活動をしていきたいと思います。非常に残念なことはメーリングリストの裏では、面白い話題がいっぱい流れていて、これがメーリングリストにあげたいのにあげられないということがあります。それらも含めてメールやホームページを中心にした活動をしていきたいと思います。課題については実務でみんなが決めたいと思っていることを決めていく、そういう場にしたいと思います。
この一年間活動して、世界が広がりました。いろんな人からいろんなメールをもらいます。この前は国文学資料館の方と連絡をとりましたら、国文学系の大学で横断検索のシステムを作りたいという話を伺えたり、昨日はOPACリストの林さんにZ39.50のターゲットリストをまとめてくれないかという話があったり、具体的に話が広がってきていますので、この広がりの中でみんなが平等に発言してものを決めていくという活動形態にしたいと思います。本当に一年三ヶ月の活動の中で、ここまで来れたことを皆さんに感謝します。
[金子]早稲田大学の金子でございます。私も、この運営委員に入らせていただいて、一緒にやってきたんですけれども、早稲田固有の課題で考えますとINNOPACに98年に切り替えまして、その時にMARCの持ち方について非常に議論をいたしました。疑似MARC21にしたんですが、慶應もそういう形をとって、さらにNIIさんの動きもありまして、そうした流れができてきたのかなぁと思います。今日、具体的な提案がありましたので、その辺については持ち帰って検討したいと思います。本日は整理課の藤巻と学情課の荘司と三人で伺っていますけれども、整理課で検討すべき事柄を皆さんとご相談したいということと、荘司は来月になりますけれども香港のINNOVATIVEユーザー会に出張して報告することになっています。そちらで日本の書誌レコードに関心がもたれているということですので、おそらく今日の結果なども報告に加わってくるのではないかと思います。今後の活動については入江さんの方から詳しく話があったので、その方向で是非すすめていきたいと思います。今日は、お忙しいところお集まりいただきまして誠にありがとうございました。とりわけ今日初めてこのフロアに来ましたけれども、非常に立派な会場をご提供くださいました明治大学の方々にお礼を申し上げたいと思います。
[佐藤]あっという間に一年三ヶ月経ったなぁと思っています。基本的にいろんな話がもっとオープンにできればいいなぁというふうに思っています。皆さん図書館というところではステークホルダーだと思うのですがいろんな関わり方があると思います。スタンダードを決める議論というのは、LCも含めて、いろんな人が混じっていろんな話をされていますので、それを頭ごなしに否定するのではなく、いいところは真似しようよというところで、いろんな話ができればいいなぁと思っております。今後ともぜひよろしくお願いいたします。
[加茂]この一年間、私としても非常に勉強になりましたし、いろんな人と知り合えて大変よかったなぁ思っています。勉強するだけでなくて積極的に発言していくことが大事だなぁと痛感しました。この後も、そういった姿勢で皆さんと進めていきたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。
[入江]では研究会を終わらせていただきます。これからもよろしくお願いいたします。