研究会報告


| 1 | 2 | 3 | TOP |

所蔵スキーマと状態通知についての考え方

[加茂]紀伊國屋書店の加茂でございます。今日は所蔵スキーマと所蔵通知についての考え方ということで、ちょっとまとめてまいりましたので、これを発表したいと思います。まず、なぜこのような話を出したかと言いますと、メーリングリストにも出したように、Z39.50というのは、いろいろなところが同時に検索できるだけではなくて、それがどこにあるのか、あればお互いに使いたいというのが目的だろうと。とすると、目録がどう作られているうんぬんということも当然大事だろうけれども、どこの館にあってそれがどういう状態にあるのかということがわかるところに、大きな意味があるのではないかと思いまして、メーリングリストでは問題提起しました。実際にZ39.50の実装レベルで、項目をどう出していくかということに関して、所蔵の状態に関してまで出していくと、結構大変ではないだろうかということにあります。私の今日の結論から先に言ってしまうと、状態表示に関してはここでは決めないといいますか、決めることはないと考えました。では 実際何を所蔵情報に表示するかというと、共通仕様としては配架場所や資料IDなど基本的な項目のみを考えております。今日はその結論に至った、現状の紹介、つまり Z39.50の所蔵部分がどう見えているかというところを、いろいろな事例でご覧いただきたいと思います。開発の方々は見てらっしゃるかと思いますが、いろいろなケースを実際に見る機会はあまりないと思いますので、ご参考にしていただきたいと思います。

まず、事例1は、LVZというゲートウェイからNACSIS-CATを見た場合です。NACSIS- CATではタグ852に所蔵の情報が見えます。もちろんMARC21のタグ表示で見た場合です。次に、事例2は早稲田大学INNOPACの場合です。920のところに、この書誌の場合複本がたくさんあるのでいろいろな所蔵状態があります。$cのところにOn HOLD SHELFあるいはDUE返却日などの表示がでています。事例3はCalifornia State UniversityのGEACの場合です。これはLCのゲートウェイから見た場合です。こちらも852のところに所蔵関係が書いてあって最後にIn Libraryとか書いてありますね。事例4はGlobal Finderから九州大学さんのOPACを見た場合です。非常にNACSISに近い形をつくっていて、複本がある場合このサンプル画面のような形になっています。それから、事例5はINNOPACの香港Chinese Universityです。こちらのケースはちょっと面白くて、左側に見えているのが早稲田さんのゲートウェイを通した場合です。その場合は920にNOT CHCKD OUTのように所蔵の状況が見えているんですが、右側のLCゲートウェイを経由すると920は見えてこないという形になりますね。これは、Z39.50のクライアントとかゲートウェイの表示の仕方によると思われます。それから事例6はLIBIS-Net、ベルギーのDOBIS/LIBISのネットワークで使っているZ39.50のOPACをLCのゲートウェイから見たものです。こちらは960のところにCHARGED OUT 返却日のような表示が出ています。事例7はUniversity of MinnesotaのGEACですけれども、こちらは999に入っていますね。最後に事例8はWashington Research LibraryのEndeavorによるOPACです。左側のタグ表示で見た場合には856に所蔵関係のデータを見た場合はURLリンクをしている訳で、右側の画面にあるように、タグ表示でなくラベルで表示した場合にはロケーションのところにリンク表示になり、ここをクリックすると実際のOPACに飛んでいって、そこで詳しいHOLDINNG情報を見なさいというような形で展開していきます。

以上のように、US-MARC上のどこのタグにいれるかということを含めて、メーカーさん、学校さんによって、いろんな形になっていることがこれで分かると思います。なお、所蔵 の状況に関しては国内のメーカはNIIさんの仕様に従っているため、現状ではUS-MARCのタグ852での実装に落ち着いてしまっていると思います。

一番最初に戻ります。今見ていただいたとおり、現在の状況は所蔵の状態表示につい ては確定されたものがありません。メーカあるいはシステムによって、特定のタグに今見たような貸し出し中等の表示をしているケースもあるし、ないものもあるという状況です。今回のZ39.50の交換標準仕様の提案としては、第1に、所蔵項目に関しては所蔵の状態表示は含めない、第2に、この項目でなければならないという訳ではありませんが、標準交換仕様の対象は館、配架場所、請求記号、資料IDレベル、というふうに考えたい。第3に、ただしもちろん個々のアプリケーションに関して強制するものではないし、例えばZ39.50を標準のOPACにしてしまうというシステムはあり得る訳で、そういったものは当然所蔵状況表示や、いろいろなものへのリンク情報であったり、予約機能などへの繋がりは、そのアプリケーションの中では自由だと考えます。

所蔵状態の通知については、このZ39.50の交換仕様中に実装するという考えではなく て、例えばISOのILLといったところで他の仕組みとの連動というところで考えていった ほうがより現実的ではなかろうかと思います。ILLに関してはこの後ILL MANAGERの話もありますので、そのところで触れられるかと思います。Z39.50の実装のところで議論するのではなくて、ちょっと切り離して考えた方がいいのではないかというのが今回の私のご提案です。 以上です。

[入江]ありがとうございました。

ILLManagerを見てきて

[木下]慶應大学理工学メディアセンターの木下と申します。どうぞよろしくお願いいたします。前々回、私のつたない説明でRLGのILL MANAGERについてご説明いたしましたけれども、この8月の中旬から11月の頭まで慶應の研修でイギリスとアメリカをまわる機会がありましてその中でRLGに行って、ILL MANAGERについて聞く機会がありましたので簡単ですけれどもご報告いたしたいと思います。RLG側の担当者ですけれども、Dennis Massieという方でこの方がILL MANAGERを広める担当で、この日一日この方が中心に対応してくださいました。そして一番下に書いてあるDavid Richardsと言う方は、セクションとしてはDevelopmentセクションのディレクターにあたる方でシステムの開発担当責任者ということで対応してくれました。

まず簡単ですがILL MANAGERの現状をご説明いたします。ILL MANAGERがどういうものかということですが、Z39.50を使って沢山の大学のOPACを横断検索をして、その結果についてISOのILLプロトコルを使ってILLをやりとりするというシステムになっています。配送に関しては、アメリカの方では一般的に使われてますARIELという画像伝送システムもこの中に組み込まれているというシステムになっています。現在のバージョンは1.2というものになっているようです。また導入大学の大学数の一覧というものがありまして、これはRLGのページから見れるんですけれども、勘定してみたところ23大学が導入しているという感じで、それとは別に約10大学が名前だけあがっています。使っているというチェックは付いてなかったので、購入だけしてテストをしている状態かもしれません。

今回聞いてきて、少し細かい部分ですが面白そうなところとしては、Webで申し込みをできるインターフェースがあります。これはこの後で紹介いたしますけれども、そんなものもあるんだなと。また受け付けたデータを処理のために印刷をするんですけれど、それに全部バーコードが一緒に打ち出されて、後で送信をする時とかにバーコードを読み込ますだけでデータの検索ができるという、細かい技なんですけどよく考えてあるなというふうに思いました。実際にはZ39.50で横断検索をするとRLGのデータベースであるとか、OCLCのデータベースでヒットした時に、それぞれ図書館のコード、シンボルが別々になってますので、その辺りも関連づけができて一つにまとめることができるようになっているようでした。それから依頼館について、例えばコンソーシアムを組んでいるのでこのグループは優先的に申し込みたいというような設定をできるような機能がありました。よくよく聞くと、いろいろ考えて作ってあるなという印象を受けました。

このILL MANAGERのアーキテクチャーなんですけれども、クライアントとサーバーがあって、それと別にSQLのデータベースを裏側で持っていてそこで連携をしているという感じになっています。実際には使うパソコンのところでは、クライアントがあればいいんですけれども、一つの図書館に一台しかパソコンがない場合には、そのパソコンの中にクライアントとサーバとSQLデータベースと全部いれるという感じのようです。サーバ側からメールのシステムも組み込まれていて、そことのやり取りができるようになっているようです。

Webのインターフェースについて若干説明しておこうと思うのですけれども、実は慶應でも今Webで申し込んだものをILLシステムの中に直接取り込もうといろいろやっているので、ここは個人的には非常に興味がありました。できることとしては当然リクエストができると、あと処理状況照会ができると、取り消しができると、本借りた時には更新もできると、かなりすごいなと思ったんですけれども、実際にはWebで申し込みをすると、それが整形された電子メールの形でILL MANAGERに送られるということでした。なのでリクエストをWebで申し込んだら結果がすぐにWebに反映される訳ではなくて、ILL MANAGERに一度送られてILL MANAGER側で処理をして、その結果ユーザに返事がメールでいくというようなシステムでした。これはどうかなぁと思ったんですが一応そういう形でやっているということでした。認証としてはセキュリティ的にどうかという話があるんですが、図書館用のIDそれから名前、電子メールアドレスで認証ができているということでした。特にパスワードはないみたいでした。

それでここから本題なんですが、メーリングリストでも話題になりましたけれど、加茂さんから今もお話がありましたけれども、Z39.50を使って、そこからILLに連携するときに所蔵データは一体どういうふうにやっているんだろうねという話ですが、メーリングリストの中でもILL MANAGERでどうやっているのか聞いてきてよという話がありましたので、聞いてきました。所蔵状態のチェック機能というのは、先ほどご紹介したバージョン1.2には組み込んでなくて、今β版で開発しているところなんだと言っていましたけれども、Holding Schemaを使っているのかと聞いたら、そんなものは使っていないと、OPAC Record Syntaxというものを使ってやっているのだというふうに言っていました。私は不勉強でよく分からなかったんですけれども、このレコードシンタックスとは何かと聞いたらうーんと言ってあんまり芳しい説明がなかったので、それについて説明してある開発のための資料はないのかと聞いたら、それもないということでした。一応資料はもらったんですけれども、具体的にどこのところをどういうふうに利用しているのかということは、まだ見えないままの状態です。ただ機能としては、リクエストを受け付けたデータを、ILL MANAGER上のOPAC Checkというボタンを押すことで自館のOPACを見に行って、未所蔵か貸し出しできない場合には自動的に謝絶をするというシステムです。所蔵確認ができれば、そこで得られた配架場所と請求記号をピックアップ用のスリップに印刷すると。ただし所蔵状態は印刷されないという形になっております。この検索は何でいくのかというと、OPACのレコードID、ISBN、ISSN、LCCNあるいはタイトルを用いても出来ると言うことでした。検索結果に関しましては、一書誌に対して五件の所蔵情報まで取り込み可能でそれを越えたものは取り込まれないようです。逐次刊行物の所蔵情報については取り込まないということになっています。Holding Schemaについてはどうなのかという話をしたのですが、ILL MANAGERで取り込んでも、それを使っている図書館システムがないために、そこと連携のしようがないため今のところ全く考えていないという話でした。OPAC Record Syntaxについて、もしご存知の方がいらっしゃいましたら有益な情報をいただけるとありがたいと思っています。結局の所、依頼を受け付けたデータに関して自分のところのOPACの所蔵をチェックするという機能ですので、資料を見るとZ39.50を使っているとは書いてあるんですが、どうも裏側で単純にOPACとやりとりしてそこからデータを持ってきてるのかなという印象があります。

それからもう一点、これは入江さんから、ぜひ聞いてこいと言われた内容なんですが、ILL MANAGERについて日本語化、あるいは多言語化についての可能性があるかどうか聞いてきました。日本語化については、そんなものは考えられないというか、全く考えていないという感じで、一言NOと言われて終わったのですが、ユニコード対応についてはどうかとも聞いたのですが、やはりこの辺も自分達が頑張ってユニコード対応にしても、使っている図書館のパソコンがそこまで追いついて来ないので、もうちょっと先かなぁという反応でした。多言語化については、今ドイツ語版を開発しているんだけれども不具合があって、ドイツ語でさえなかなかうまくいってないんだから、日本語化なんて何をいわんかという感じでした。言語のことでいえば、アメリカの場合は、むしろメキシコだとか中西部の方に広めようということなのか、メキシコ版に着手したところだという話がありました。そういうことで880タグに日本語が入っていたらそれをタイトル欄に表示させることができるかとかいう話には全くたどりつけないところでこの話は終わりました。

また、それとは別に、実際に使っている図書館も見てきたんですけれども、ニューヨークにありますNew York UniversityとColumbia Universityを見てきました。どちらも今年になってから導入して、特にNew York UniversityについてはILLの依頼館情報の設定をしくじったらしく、つい最近その修正が終わって最近使い始めたばかり、あるいは一部分まだ使えない部分があるという状態でした。評価している点としては、今まではRLGのILLシステム、それからOCLCのILLシステムということでILL依頼するときにそれぞれ開けなければいけなかったんですけれども、それがこれによって一つで済むようになったということで、使うシステムが一つで済むようになったことが一番大きいということでした。日本の図書館では、どこもWindowsのパソコンを業務用であれ、利用者用であれ使っているのは当たり前なんですが、アメリカにいくとOPACはまだテキストベースであったり、また利用者用はWindowsになったけれど、裏側はまだテキストベースでやっているということもあって、今回ILL MANAGERをいれることによってWindowsのマシーンがやってきたのよ、それが良かったという話もありました。

ILL MANAGERを見てきて得られたことというのは簡単にいうとそんなところなんですが、実はアメリカに行く前にイギリスも行ってきましたので、簡単ですけど、これについても、ご報告しておきます。イギリスのILLの状況というのは皆さんご存知のとおり、やはりBLDSCがありますので、どこの大学図書館に行って聞いてもILLはBLに頼んでいると言って、それで終わってしまいますので、あまり図書館間でのILLというのが盛んではないようなんです。ただ一部やはりBLに依存してはいけないというか、例えば費用の面であったり、日数を短縮するという目的で、ILLを考えているようなものもありました。その中でDOCUSENDというプロジェクトがありまして、これはLAMDAという一部の大学図書館のILLのためのコンソーシアムがもともとありまして、これをZ39.50とかILLプロトコルとかARIELを使ってやろうと計画して、三年間のプロジェクトで始まったばっかりのようです。実際どんな感じか見せてもらったんですけれども、それぞれの図書館にいれるのではなくて、Webベースでやっているということだったので、そのあたりどこでILLプロトコルを使っているのかとかはちょっとよく見えなかったのですが、こんなプロジェクトもイギリスの方ではあります。これがイギリスで広がっていくのかというと、多分プロジェクトで終わるのではないかと思うのですが、こんなものもありました。

以上、簡単ですが発表に変えさせていただきます。

質疑応答

[佐藤]丸善佐藤でございます。森山さんにちょっとお伺いしたいのですけれども、デジタル岡山大百科ということで一つのコンテンツを作る作業が進んでいると思うのですが、ターゲットというか、誰が使うかというところ、現状では国内向けという形になるかと思うのですが、知っている県立図書館の方に聞いたことがあるのですが、日本研究という分野においては、日本の地方の図書館に海外からレファレンスの要求が入ったりするということを聞いたことがあるのですが、例えば岡山ではいかがでしょうか。最近増加するとか、ほとんどないとか、もしご存知であれば教えて下さい。

[森山]メールが入ってくることはあります。メールが入ってきて、このことを知りたいけれど、日本に関する公開情報が限られているので、どうしたらいいかといった調査方法のレファレンスメールが舞い込むことがあります。

[入江]今日はTRCの渡辺さんがいらしていただいています。前回同志社の話の時に日本の目録を効率的に作れないかという話がありまして、TRCの書誌をベースに何かできないかという話がありました。一言いただければと思います。

[渡辺]TRCの渡辺と申します。以前からホームページやメーリングリストは見させていただいていたのですが、やっと部署的にも落ち着きまして、今回から参加させていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。基本的にうちは通常の民間企業でございまして、コストパフォーマンスを考えないわけには参りません。また日本の目録を効率的に作るという観点では、現在学情さんの方へ新刊マークはある程度範囲を限定して提供しております。ですからその経路を変える事によって効率化が図れるのであれば検討できると思うのですが、私の独断では決定できませんので次回までに検討してきたいと思います。

[入江]横山先生がメーリングリストで総務庁に関する話をしてくださいましたが、何かご発言は。

[横山]国立国語研究所の横山でございます。この前メーリングリストで少し皆さんにおたずねした件がございまして、私どもの研究所は文化庁の研究所でございまして、文化庁には博物館とか美術館が所属しております。私がこの研究会に参加させていただいた目的は、実は図書館さんがいろいろな書誌目録のデータベースの標準を作ろうという話と、博物館とか美術館が持っている所蔵品の目録の問題は同じ視点というか、まとめて考えた方がいいのではないかなと昔から考えていたわけです。そこのところに日本語の問題というのがどうしても出てきますし、漢字の問題も絡んできます。東京国立博物館の所蔵目録のデータベースをみますと、所蔵品の名前が全部欠字に、全てがゲタ文字になっているというふうなものもあります。それでは何のためにデータベースを作っているのかよく分からないということがあります。そこら辺を全部横断検索できるようなシステムを文化庁としても作っていかなければいけないということで、いろいろな計画を進めてきたわけです。そうこうしているうちにE-JAPANという大きなプロジェクトが走り始めまして、その中で内閣官房のIT戦略推進室の肝いりで総務省が全国約2500の図書館、博物館は4200、美術館は1000館の全部を横断検索をできる窓口のサイトが立ち上がるという報道が朝日新聞で10月31日に流れました。私はそれを見た時に、同じようなことを考えているんだなというふうに思いましたが、技術的な問題もございますし、著作権の問題などなどいろいろな問題もあるはずなのに、どれくらいの覚悟で取り組むのかなと興味を覚えまして、このライブラリーシステム研究会の方々におたずねしました。いろいろな方から情報をいただきまして、ありがとうございました。私どもも文化庁に情報提供をお願いいたしまして、文化庁としても協力するということで、地ならしが済んだ上で動いているということでございます。がしかし、先日図書館総合展でNDLさんがデジタル図書館構想とかお話をしてくださいまして、総務省のプロジェクトについてはどのようにお考えですか、というふうにおたずねしたんですけれども、寝耳に水ということでした。何を申し上げたいかと申しますと、先ほど皆さんのご発表の中にもあったかと思いますけれども、ばらばらに同じようなことをあちこちでやっても非常に無駄なのではないか、できればいろいろな動きを一本化してやった方がいいのではないかと思います。

[入江]韓国と提携して図書館システムの話ができれば、羽山さんお願いいたします。

[羽山]日立製作所の羽山でございます。韓国のLG社と提携してパッケージを作るというのは事実でございます。第一弾は大学の事務システムでございまして、その後、大学内で使われるパッケージをいくつか揃えていこうという計画ではございます。ただ図書館パッケージについては、今のところ自社内で開発するものをメニューの一つとしていますので図書館パッケージについては該当外というのが実状です。

[入江]ここでメディアセンター所長の細野が参加してますのでご挨拶をお願いしたいと思います。

[細野]慶應の細野でございます。このライブラリーシステム研究会という話を入江さんから聞きまして、私も個人的には、随分昔は、こういうことに興味を持っていたわけです。時代が随分経って、今の時代では、どういうことになっているのかなぁということで、できれば積極的に参加したいと思っていたわけです。ところが運が悪いことに、この研究会がある日は、いつも何か仕事があって参加できない、この前同志社でもあったかと思うのですが、せっかくですから同志社まで行って、その後京都でも見てこれるかな、と非常に楽しみにしていたのですが、それもだめになってしまいました。今日は最初から出席できると楽しみにしていたのですけれども、たまたま授業の振り替えということで月曜の授業をやらなければいけないということで、なかなか出られず、最後のところだけでも出ようとお邪魔いたしました。最後の3人くらいのところしかお聞きできなかったのですが、時代を感じました。私の若い時はマークの話もLCのMARC、今は21になっていますが、それが具体的にシステムでどういうふうに使えるかということで、非常にプリミティブな話を一生懸命やっていたわけですね。そこからカードをどうやって打ち出したらいいかとかですね。今から考えると信じられませんが。今日のお話はちょっとしか聞きませんでしたけれど、OPACという環境下でMARC21をどういうふうに考えたらいいのかという話も出てましたし、横断検索ですとか、最後はILL MANAGERとか、非常に広がってきているということを強く感じました。そういうことで、こういう研究会というのがますます続くというのは非常にいいことだと思いますね。それからこんなに多くの方が参加されているとは思わなかったので、びっくりしました。一つは希望といいますか、注文があるのですが、いろんな立場の方が参加されている、大学の方もおられれば、企業の方もおられるということで、場合によっては立場が微妙になるのかもしれませんが、せっかくこれだけの研究会ですので、できれば何かこうプロダクトを具体的な、例えば新しいシステムができるとか、そういうところまで試行していただければと思います。つまり、我々勉強しなければならないことが多いわけでキリがないわけです。それを踏まえて部分的でもいいですから、何か今までとは違った新しいシステム、そういったものがここで提案できる、実装までいくというようなところまで考えて進んでいただければ、本当の意味でのR&Dということになるんじゃないかと思いました。そのような活動を期待しております。私はそこまではInvolveできませんけれども勉強だけはさせていただきたいと思いますので機会がありましたらこれからもださせていただきたいと思います。幸いにも次回は休み中ですので、最初から出られるのではないかと思っています。これからもよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

[入江]一応この会を始めるに至って1年間でアウトプットを出そうという話がありました。昨年の9月に第一回の研究会が開催された時に、一年間で日本におけるZ39.50の標準なり推奨プロファイルを作るということ話をさせていただきました。一応今日の酒井さんの話と前々回のプロファイルについての合意の活動に入ろうと思います。

もう一度、背景と考え方と目標について確認させていただきたいと思います。この研究会の最大の問題は、図書館と図書館システムのグローバル化がすすんできている、これに対して僕らが対応しないといけないという危機感と、図書館そのものが職員も減ってきて力がなくなっている中で何とかしなくてはいけないという危機感があったからです。近い将来図書館システムはどの国のパッケージを持ってきても、基本的に動くという時代になってくると思うので、その準備をしたいと思います。そのためにNGO的な共同作業をインターネット上で作り上げたいというのが目標だったと思います。一年間の成果の中では、NIIさんのご努力もありまして、NIIさんが動くと日本の大学は動くので、流れができて、パッケージ実装が進んで、先ほどの森山さんのアンケート結果でまとめられたように、去年の9月には考えられなかったような状態ができてきたと思います。NIIさんの動きに合わせて、活動してきたことは意味があったと思っています。

これからの課題はいっぱいあります。ただ研究会は研究だけしても仕方がなくて、先ほどの木下君の話にもありましたが、周りを変えなければいけない、そして周りを変える時には図書館がしなければならない努力はとても大きいと思います。

活動形態は一年間が目標だったこともあり、三ヶ月に一回にこういう会を持ってきましたが、Z39.50についてはある程度まとまってきましたので、これからの活動の仕方は考えたいと思います。ただ研究会は発言型にしたいというのが始めからの思いで、一回目の後に石田さんのメールをたくさん出し始めた時に僕らはついていけなかったという苦い思い出がありますので、研究をしていろいろ発言をしていくということを中心にしていきたいと思っています。みなさんの発言をベースに物事をまとめていきたい。たぶんここにいらっしゃるみなさんは石田さんのメールのタイミングをご存知だと思いますが、回答がガンガン返ってきてしまって、ZIGにしろ何にしろ、それくらいメールが走る訳で、僕らの弱さはありますけれども、具体的に発言して現実を変える活動をしていきたいと思います。非常に残念なことはメーリングリストの裏では、面白い話題がいっぱい流れていて、これがメーリングリストにあげたいのにあげられないということがあります。それらも含めてメールやホームページを中心にした活動をしていきたいと思います。課題については実務でみんなが決めたいと思っていることを決めていく、そういう場にしたいと思います。

この一年間活動して、世界が広がりました。いろんな人からいろんなメールをもらいます。この前は国文学資料館の方と連絡をとりましたら、国文学系の大学で横断検索のシステムを作りたいという話を伺えたり、昨日はOPACリストの林さんにZ39.50のターゲットリストをまとめてくれないかという話があったり、具体的に話が広がってきていますので、この広がりの中でみんなが平等に発言してものを決めていくという活動形態にしたいと思います。本当に一年三ヶ月の活動の中で、ここまで来れたことを皆さんに感謝します。

[金子]早稲田大学の金子でございます。私も、この運営委員に入らせていただいて、一緒にやってきたんですけれども、早稲田固有の課題で考えますとINNOPACに98年に切り替えまして、その時にMARCの持ち方について非常に議論をいたしました。疑似MARC21にしたんですが、慶應もそういう形をとって、さらにNIIさんの動きもありまして、そうした流れができてきたのかなぁと思います。今日、具体的な提案がありましたので、その辺については持ち帰って検討したいと思います。本日は整理課の藤巻と学情課の荘司と三人で伺っていますけれども、整理課で検討すべき事柄を皆さんとご相談したいということと、荘司は来月になりますけれども香港のINNOVATIVEユーザー会に出張して報告することになっています。そちらで日本の書誌レコードに関心がもたれているということですので、おそらく今日の結果なども報告に加わってくるのではないかと思います。今後の活動については入江さんの方から詳しく話があったので、その方向で是非すすめていきたいと思います。今日は、お忙しいところお集まりいただきまして誠にありがとうございました。とりわけ今日初めてこのフロアに来ましたけれども、非常に立派な会場をご提供くださいました明治大学の方々にお礼を申し上げたいと思います。

[佐藤]あっという間に一年三ヶ月経ったなぁと思っています。基本的にいろんな話がもっとオープンにできればいいなぁというふうに思っています。皆さん図書館というところではステークホルダーだと思うのですがいろんな関わり方があると思います。スタンダードを決める議論というのは、LCも含めて、いろんな人が混じっていろんな話をされていますので、それを頭ごなしに否定するのではなく、いいところは真似しようよというところで、いろんな話ができればいいなぁと思っております。今後ともぜひよろしくお願いいたします。

[加茂]この一年間、私としても非常に勉強になりましたし、いろんな人と知り合えて大変よかったなぁ思っています。勉強するだけでなくて積極的に発言していくことが大事だなぁと痛感しました。この後も、そういった姿勢で皆さんと進めていきたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。

[入江]では研究会を終わらせていただきます。これからもよろしくお願いいたします。

| 1 | 2 | 3 | TOP |