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MediaNet≫No.11 2004≫タイの魅力
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ナンバー11、2004年 目次へリンク 2004年10月1日発行
スタッフルーム
タイの魅力
辻 邦弘(つじ くにひろ)
信濃町メディアセンター係主任
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 私のタイでの過ごし方は毎回同じだ。朝,どこのゴルフ場に行こうかとホテルで朝飯を食いながらガイド本を見る。よほどの事情がない限り当日直接ゴルフ場へ行っても問題なくプレーできる。行き先が決まるとホテルの前で仲間同士たむろっているタクシーの運転手と交渉を始める。最近,タイ語での簡単な日常会話が交わせるようになったので,運転手との値段交渉も楽しみの一つだ。土地感もなく相場もわからなかった最初の頃,相手の言い値で通常の何倍もの料金を支払っていた。あの頃の仕返しだ。吹っかけてくるような悪い奴には「車の番号は覚えたから後で警察に届けます。」と脅すことにしている。大抵はおとなしく引き下がるが中には怒りだす奴もいる。怒っている奴のタイ語なんか理解できるわけがないので聞き流して楽しんでいる。
 タイのゴルフ場は18ホールスループレーでラウンド中に昼食休憩はなく,食事はプレー終了後となる。年間を通して日本の8月より暑いタイだ。ラウンド終了後のビールがうまい。本当にうまい。帰りもタクシーだから車の運転を気にする必要もない。
 ラウンド中に大量の汗をかくから今飲んだビールが体に染み込んでいくのがわかる。あれほどビールがうまいと感じられる状況はそうそうあるもんじゃないと思う。ちなみにタイには3つの季節があり6〜10月が雨期,11月〜2月までが乾期,3〜5月が暑期となっているが,「暑い」,「くそ暑い」,「死ぬほど暑い」と言い直したほうが正しいと思われるのだが…。
 ゴルフが終わると次はタイマッサージ。隣とはカーテン1枚で仕切られたクーラーが良く効いた2畳ほどの小部屋に入り,そこでTシャツと日本のステテコのような生地の薄いズボンに履き替えさせられる。タイ人はクーラーが大好きらしく,レストランやタクシーの中では常に最低温度に設定されている。マッサージ屋も同じで温度調節は常に18℃だ。寒過ぎる。自分が好きなものは相手も好き。それが彼らにとっての最高のおもてなしでサービス精神であるらしいが,物には限度があるということが分かっていないようだ。いつか教えてあげる事にしよう。
 マッサージは足の指先から始まって脛,太股,足の付け根と1時間ほどかけて下半身をほぐす。下半身が終わると次は上半身。腕,背中と心臓から遠い順でマッサージする。最後に首と頭をもまれ仕上げに柔軟体操。たっぷり2時間かけて全身をほぐしてくれる。タイマッサージは単純に言うとリンパマッサージである。リンパなんて普段意識してないし,自分でどうこうしようとするものでもない。だからタイにいる間は毎日のようにマッサージに行くことにしている。マッサージ後は体がとろけたような感覚になり自分の体が自分の体じゃないような気がする。きっと溜まっていた老廃物が流れ始めているのだろう。街中には何軒ものマッサージ屋があるがシステムはどこも同じだ。これで約300バーツ。おばさんへのチップを入れても500バーツを超えない。日本円で1,500円以下だ。駅前にある15分2,000円のクイックマッサージには2度と行けない。
 晩飯は屋台で済ませることが多い。昔からタイ人は自宅で調理する習慣がなく屋台で食事するか持ち帰って家で食べる。持ち帰りには全てビニール袋を使う。ご飯だろうが惣菜だろうが汁物だろうがなんでもかんでもビニール袋を使う。麺類にもビニール袋を使うのだ。麺,スープ,具とそれぞれ別々のビニール袋に入れて持って帰るのだが,ビニール袋以外に他に何かなかったのだろうか。寝る前には1日の締めくくりとしてビアバーでビールを1,2本飲みながらタイ人とお話する。いつでも明るい彼らと飲んでいると楽しい。本場のタイ語も勉強できるし最高だ。
 こうしてあらためてタイでの過ごし方を思い返してみると,お寺,リゾート地,遺跡といった旅行パンフレットに書いてあるような文字は出てこなかった。タクシーの運転手,キャディー,マッサージや屋台のおばさん,ビアバーの人達,実に楽しそうに働くタイ人の姿が思い出された。私にとって,タイの一番の魅力はタイ人ということなのだろう。
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