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ナンバー17、2010年 目次へリンク 2010年11月30日発行
巻頭言
図書館発行雑誌としての『MediaNet』
田村 俊作(たむら しゅんさく)
メディアセンター所長・慶應義塾図書館長
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 ほとんどの大学図書館や公共図書館は,自館が企画・発行する雑誌(図書館用語で言う逐次刊行物)を持っている。両館種とも,規模の大きな図書館では「館報」といわれる類のニュース誌と,年次報告書の二種類の雑誌を発行しているところが多いようである。早稲田大学や東京都立図書館のように研究紀要を別に出してきたところもある。
 このように,図書館が発行する雑誌は,(1)そのときどきの図書館に関わる情報の提供,(2)図書館の活動報告,(3)図書館に関わる調査・研究の報告,といった内容を含んでおり,通常はそれぞれを別個の雑誌が担っている。
 この点,慶應義塾大学メディアセンターは他の図書館とはずいぶん様子が異なっており,独特である。
 まず(1)のニュース提供だが,現在ニュース誌を発行しているのは三田と理工学の2地区のみで,他地区は特別にこれといったものは出していない。
 本誌『MediaNet』は,あえて言えば(2)図書館の活動報告を内容とする雑誌であるといえるだろう。『MediaNet』の説明文にも,「メディアセンターにおける年間の活動や成果を記録としてまとめ,それらを慶應義塾の内外に広報するため」(http://www.lib.keio.ac.jp/publication/medianet/(2010/08/29参照))と書かれている。
 しかし,実際の性格は大抵の年報類と相当に異なっている。多くの場合年報には統計ばかりを掲載し,運営に関する説明が載ることはほとんどない。つまり,「データで語る最近の図書館の状況」というのがふつうの年次報告書のスタイルである。
 これに対し,『MediaNet』の最近の号を見てみると,メディアセンターや慶應義塾の動向に関連した特集が組まれ,メディアセンター職員を中心に,教職員の寄稿なども加えて,メディアセンターの業務に関わるさまざまな活動が報告されている。それだけでなく,職員による研究・研修の報告,貴重書や特殊コレクションをめぐる話題,随想などまでも掲載されている。また,職員による刊行物の一覧や,各種統計や資料等も収録しており,内容は多彩である。図書館の活動報告を基調としつつ,さまざまな読者にさまざまなメッセージを届けようとする配慮がうかがえる。
 本誌の前身は『KULIC』誌であるが,これにはさらに前身がある。1967年創刊の『八角塔』で,この手の雑誌としてはむしろ遅れての登場かもしれない。『八角塔』は慶應義塾図書館(当時)を中心とした,図書館に関わるエッセイ・情報誌といったおもむきで,明確な編集意図があったわけではないらしいことは,各号の内容がバラエティに富んでいることから推察される。
 おかしいのは本誌とは別に『八角塔 館内版』があったことで,利用者向けの広報誌と平行して,館内の情報共有のためのメディアが別に刊行されていたのである。
 こうした雑誌の性格は1970年創刊の『KULIC』で一新される。同誌は慶應義塾図書館が研究・教育情報センターに改組されたことを機に発刊されたもので,内容も活動報告,エッセイ等,統計・資料と,現在の『MediaNet』の骨格は同誌によって作られたことが理解される。
 こうしてみると,本誌のスタイルは40年に及ぶ長い歴史を持っていることになる。私には『八角塔』が持っていた雰囲気も今日なお保持しているように見える。良き伝統を保持しつつ,ターゲット読者層と編集意図を明確に,「読んで良かった」「役に立った」と言われる雑誌を作ることを,編集委員をはじめとする職員諸氏に期待したい。

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