今さらだが,私は昨年女子高からSFCメディアセンターに異動して初めて,メディアセンターに様々な種類の資料があることを知った。これまで,膨大な資料があることは知っていたが,研究・学習に必要な資料ばかりだと思い込んでいた。
入社当時,メディアセンターにどんな資料があるのか探索しに行ったことがあった。その時は,話題の本があるのか,というミーハーな気持ちでメディアセンターの門を叩いたのだが,私の気持ちは即座に打ち砕かれた。何冊か資料を手に取ってみたものの,学術的な専門書にあふれていたのだ。「私が来てはいけない場所だったか」そう思いながら,トボトボとその場を去るしかなかった。それ以来,誰かに「他にも小説とか面白い本も沢山あるよ?」と言われても信じられず,簡単に入ってはいけない,なんだか神々しい場所となってしまった。
しかし,今よく考えると,たまたま専門書のフロアーもしくは書架に出くわし,手に取っただけだったのだ。メディアセンターで仕事をしてようやく気がついた。ごめんなさい,メディアセンター。
もちろん,学術情報を収集して教育・学習・研究・医療活動を支援することがメディアセンターの使命なのだが,そればかりではない。
例えば,SFCメディアセンターでは2003年より気軽に読める本も,一般蔵書とは別に収集している。そのコレクションはPブックと呼ばれ,“楽しい(Pleasure)”という側面を持った資料を中心に収集し,次のようなテーマを対象としている。
<資格試験,語学試験(TOEIC, TOEFL)用テキスト,実務書,ビジネス書,趣味の本(旅行,料理など),ガイドブック(就職・留学・大学院ガイドなど),文学書(小説,エッセイ)>
また,限られたスペース(収容冊数1,500冊程度)のため,資料の保存期間も数年という短期間で,常に最新の情報に更新しているのだ。
カウンターでの資料貸出時にも,レポートや試験勉強などに必要な資料と共に,1〜2冊趣味の本を借りる学生も少なくはない。中でも旅行本などはよく見る顔ぶれだ。試験が終われば夏休み,なんていう時には,旅行本を早めに借りておかないと,休み前にはすでに借りられていることが多い。おまけに夏休みに入る頃には,長期貸出期間で10月が返却期限となり,すぐには手に入らないのだ。
その洗礼をつい最近も受けた。北海道の旅行本を借りようと蔵書検索システム(KOSMOS)で検索したところ,SFCメディアセンターの蔵書12冊全てが貸出中。そして,さらに予約が入っていたのだ。信じられず,書架を確認しに行ったが,やはり一つも見当たらない。仕方がないので,沖縄の旅行本を借りた。皆さん,気をつけて行ってらっしゃい!使い終わったら,早めに返してね…と思いつつ。
そんな人気の高い旅行本も, Pブックコレクションに取り揃えられている。
私の場合旅行本は,旅行で活用度が高そうな場合や,書き込んで旅の思い出として保存する場合などに購入するのだが,そうそう同じ場所に何度も行くことがないため,大体は一回の使い切りになっていた。また次に行く頃には,情報が変わっている。旅行のたび,購入に迷っていた私には,最新の旅行本が借りられるのは大変ありがたい。
国内から海外まで種類は豊富で,この国本当に行くのだろうか?と疑問に思う国も,本の使用感,日付印から借りられていることがわかる。本も学生と一緒に旅しているのだ。うらやましい。時には,これから行き先を決める情報源として活用される場合もあるようだ。少なからず,学生たちの楽しい旅にひと役かっている。今後も旅行本は, Pブックで不動の人気を誇るだろう。
だが,旅行本以外にもPブックには心をくすぐる資料が沢山ある。息抜きにぜひ立ち寄ってもらいたい。また,それぞれのメディアセンターで独自のコレクションがあり,個性も違う。もし,私のようにまだ気づいていない方がいらっしゃったら,散策がてら自分好みの本を探してみてはいかがだろうか。
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