“National Union Catalogue pre-1956 imprints”(以下NUC)をご存じだろうか?これまでに出版された総合目録としては最大の規模を誇り,全754巻にアメリカ議会図書館を含む北米図書館の約1300万レコードを収録している。出版社名であるMansellという愛称でも知られるNUCはつい最近まで,目録作成の助として,また所在確認,人名調査等レファレンスツールとして図書館員には必須の資料だった。カード目録を複製し基本記入のアルファベット順で配列されているため,目録の知識がないとうまく調べることができない。そのこともあり三田キャンパスの新館オープン時に1階のレファレンスカウンター脇に「全国書誌」というコーナーを設け,大英博物館の目録やドイツの“GV”とともに配架し,いつでもスタッフが利用者の検索のサポートができる体制を取った。1冊あたりのページ数が6〜700ページもあるNUCがずらりと並ぶ様は一種威厳さえも感じさせられた。
しかし目録がカードからOPACに変わったように,総合目録はもはや紙で刊行されることはない。データベースとしてその機能・収録を拡大してきている。NUCが完成した1981年には収録されたデータのうち80%は電子化されることはないだろうと予測されたが,2005年の“College & Research Libraries”66巻5号(に発表されたBeall, j.とKafadar, Kのサンプル調査)によるとNUCの73.2%のデータがOCLCのWorldCatに収録されている。NUCに代わる代替手段としての単独のデータベースはまだないが,大部分がWorldCatに,そして各国の国立図書館や総合目録データベース等を統合して検索することも可能になっていることを考えればNUCを使わない,あるいは知らない図書館員がこれからはもっと増えてくるのかもしれない。書架に余裕があればNUCを三田キャンパスに残しておきたいが,書庫狭隘化の中でそれもままならない。現在NUCは白楽サテライトライブラリーで静かに利用を待っている。
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