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ナンバー16、2009年 目次へリンク 2009年9月30日発行
 
メディアセンター・ポータルサイトの構築
木下 和彦(きのした かずひこ)
湘南藤沢メディアセンター事務長
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 メディアセンター・ポータルサイトは,「中期計画2006-2010」で言及されている“学習,研究などを行うために必要なサービスへワンストップアクセスを提供するためのサイト”として2008年8月に公開された。本稿では,このポータルサイト構築の経緯やそのコンセプトについて説明してみたい。

1 背景
 慶應義塾大学メディアセンターでは,2006年に「中期計画2006-2010」を策定した(参考文献1)(参考文献2)。この中期計画では,“環境変化に対応した図書館サービスの実現”を重要課題と位置づけ,「(中期計画の)行動計画」では,その実現手段の一つとして“ポータルサイトの構築”が掲げられた(参考文献3)。この構築の実行母体として,ポータルサイトワーキンググループ(以下,“WG”)が2007年2月に発足した。
 一方,WG発足時点での,メディアセンターにおけるWebサイトの運用状況はどうだったかというと,それぞれのセンターが各自の利用者に向けて,必要と思われる情報を集約したWebサイトを独自に運営していた(この体制は,現在でも維持されている)。したがって利用者がメディアセンターの情報を得たいと思った時には,自分が「どの」センターを利用するかということをまず最初に決めなければ,Webサイトへのアクセスもままならないという状況であった。全体を包括するWebサイトとしてはメディアセンター本部が,各センターの紹介とリンクをトップページに設けていたが,あくまでリンク集レベルにとどまっていた。
 また「行動計画」では,ポータルサイトを設ける目的を“来館型と非来館型双方の図書館利用要求に応えることができる複合型サービス基盤として,学習,研究などを行うために必要なサービスへワンストップアクセスを提供するため”としている。実のところ,この行動計画が発表された時点で,各センターのWebサイトが,このことに全く対応していなかったわけではない。しかしながらその提示方法は「データベース」「電子ジャーナル」など,使う側の発想に応じた表現には必ずしもなっていない面があった。利用者はまず使いたいメディアセンターを決めなければWebサイトにアクセスできなかったことを先に述べたが,ここでも利用者は,自分がどのサービスを利用したいかがはっきりわかっていなければ,必要とする情報にアクセスしにくいメニュー構成になりがちな面があった。

2 WGの活動
 前章で述べたような目的や問題点があっても,それをどうしたら解決できるかという答えをWGメンバーが持っているわけではなかった。そのため活動当初は,メンバーそれぞれが考えるポータルサイトの姿を出しあうブレーンストーミングや,塾内におけるWebサイトリニューアルプロジェクトの調査や他大学図書館のWebサイトの調査などを通じて,このポータルサイトがどうあるべきか,というイメージを作り,メンバー間で共有することに多くの時間を費やした(WGはおおよそ月1回のペースで開催し,これに約5か月を要した)。
 この検討を通じて,ポータルサイトのコンセプトとしては以下を中心に据えることとなった。
 *図書館で提供しているサービスおよび関連サービスを見やすくすることにより,利用者が情報検索のための時間を減らし,学習・研究のための時間に充てられるようにする。
 そのためには,Webサイトのトップページから最短距離で一次資料(情報ソース)にたどり着けるようにする必要がある。
 *利用者がこのサイトを通じて情報リテラシーの向上が図れるようにする。
 そのためには,サイトの構成が,学習・研究の組み立てに合致したようなものになっている必要がある。
 これらのコンセプトから,このサイトの主たるターゲットは学部学生を中心とする初学者と定めた。そのため,サイト内の情報は多く深くするより,むしろ広く浅くし,その提示方法に工夫をこらすべきだ,ということになった。では,それ以外の利用者はどうしたらよいのか,ということになるが,こうした利用者は,すでに自分が利用したいメディアセンターも,利用したいサービスも自覚していると考えられる。そのため,各センターがその専門性を背景に工夫を凝らしたWebサイトを利用する方が,より効率がよいといえる。そのことによって,ポータルサイトと,各センターが運営しているWebサイトとの差別化が図れると同時に,緩やかな連携関係を築くことができると考えている。

3 サイトの構成
 前章で述べたコンセプトを実現するため,サイトに組み込むコンテンツの構成は以下の通りとなった。

(1)非来館型サービス
 現在,各地区で提供しているサービス,コンテンツを,知る,学ぶ,探す,入手する,保管するなどにカテゴライズした。
 知る:辞書,三次資料DB(EJ-OPAC等)
 学ぶ:情報リテラシー
 探す:検索エンジン,データベース,OPAC
 入手する(非来館):電子ジャーナル,リポジトリ,インターネット
 入手する(来館):オンラインリクエスト(ILL,現物取寄せ,購入希望)※申込は非来館
 保管する:RefWorksなど

(2)来館型サービス
 ・図書館カレンダー,開館時間
 ・図書館内での本の探し方
 ・本の借り方・返し方
 ・総合利用案内
 ・学外者の図書館利用

(3)その他
 ・図書館の概要・沿革,中長期計画・行動計画
 ・ニュース,システム停止のお知らせなど
 ・各種リンク
 これらの構成を踏まえつつ,さらに“来館型と非来館型”のハイブリッドを実現するためには,利用者がメディアセンターを利用する動機は何か,という視点に立ったメニュー構成が有効と考えた。最終的なサイトのメニュー構成は以下の通りとなった。
 ・調べる・探す
 ・入手する・申し込む
 ・質問する
 ・keio.jpを使う(リモートアクセス)
 ・図書館を利用する
 ・塾内のメディアセンター(リンク集)
 ・コレクション
 ・その他(概要,統計,刊行物など)
 その結果,どういうサイトに仕上がったかは,是非実際のポータルサイトでご確認いただきたい(参考文献4)。

4 最後に
 構成が決まったところでこれを仕様化し,業者選定・サイト構築作業を経て,2008年8月にポータルサイトは正式公開された。URLは,メディアセンター本部として使っていたものを継承し,それまで本部のコンテンツとして公開していたものは,トップページ右下にまとめ,埋もれることのないように配慮した。その後2009年4月には,ほぼ同じ内容の英語版ページを公開している。
 一応の完成とはなったが,ポータルサイトと各センターのWebサイトとの連携はまだ不十分である。この解決には中長期的な取り組みが必要だが,そのためには利用者からのフィードバックも必要だろう。最近流行りの言い方に倣えば,ポータルサイトは“永遠のベータ版”ということになるだろうか。

参考文献
1)平尾行藏.“メディアセンターの中期計画について”.MediaNet.no.13, 2006, p.4.
2)“慶應義塾大学メディアセンター中期計画2006-2010”.MediaNet.no.14, 2007, p.32-34.
3)“メディアセンター中期計画2006-2010の行動計画 Ver.1.1”.(オンライン),入手先<http://www.lib.keio.ac.jp/jp/headquarter/pdf/Actio
nPlan2006-2010ver11.pdf
>,(参照 2009-08-01).
4)メディアセンターポータルサイト.(オンライン),入手先<http://www.lib.keio.ac.jp/jp/>,(参照 2009-08-01).

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