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ナンバー17、2010年 目次へリンク 2010年11月30日発行
 
南館図書室のリニューアル
遠藤 久美子(えんどう くみこ)
三田メディアセンター係主任
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1 はじめに
 三田キャンパスの南館は法務研究科に必要な設備が全て整っている校舎である。図書室は,1階と地下3・4階の二箇所に設置されていたが,2009年度末にフロアを変更し,地下2・3・4階の3フロアを使用して新たにオープンした。今回のリニューアルの背景,意図および内容について,また,その後の図書室の状況について報告したい。

2 背景,意図
 図書室のリニューアルは三田メディアセンターが独自に行ったのではなく,南館全体の改修・整備の一環として行われたものである。法務研究科の関連施設の見直し及びその他の研究室や会議室も含めた南館の活性化がねらいであった。1階に法務研究科事務室等をまとめたいという意向と,図書室が二箇所に分断されていることによる弊害を感じていたメディアセンターの意向が合致し,今回のリニューアルにつながった。
 改修の内容は,1階図書室を閉室して,地下3階図書室の真上の部屋を新たに図書室として使用し,地下2・3・4階を室内階段でつないで一箇所にまとめるというものだった。
 リニューアル以前の図書室には1階と地下3階にカウンターが置かれていた。1階カウンターでは,主にレファレンスサービスおよびAV機器使用対応,地下3階では,図書の貸出・返却などの閲覧サービスを提供していた。二箇所のカウンター要員として常時(夜間,土曜を含む)3名が必要だった。
 また,1階図書室には,法務研究科用リザーブブック・雑誌・参考図書,法学部の法律学・政治学分野記念論文集が配架され,地下フロアの一般図書と分散する形になっていた。
 図書室を一箇所に集中し,カウンターを一つにすることが資料利用の利便性向上や人件費削減につながることは言うまでもない。

3 移転作業
 年度内に使用しなければならないという制約のある予算であったため,改修・整備工事は2月,3月の春休み中に慌ただしく行われた。1階図書室は2月2日をもって閉室,地下2階は3月24日から使用開始という工事スケジュールに合わせて移転作業を行った。地下3・4階図書室は,入試期間以外はほぼ平常通り開室し,利用者の不便にならないよう配慮した。
 1階に配架されていた資料は,閉室から地下2階開室までの間も利用者が直接書架から利用できるよう,2カ月弱の間,地下3・4階の空き書架に仮置きをした。地下2階の改造工事後に,1階で使用していた書架,閲覧机・椅子が移設され,仮置きしていた資料をスタッフの手で配架して,予定通り,地下2階図書室が出来上がった。

4 リニューアル後の体制
 新しい図書室は,上下3フロアが階段でつながり,出入口(入館ゲート),カウンターは地下3階一箇所のみになった。事務スペースはカウンター横に設けられた。
 各フロアの配置資料は次の通りとなった。
 ・地下2階
 法務研究科リザーブブック・雑誌,法科大学院紀要,法律学・政治学分野記念論文集
 ・地下3階
 法務研究科図書・参考図書,法学部法律学科図書
 ・地下4階
 法学部政治学科図書,商学部図書,法律学分野旧分類図書
 改修時,既存のエレベーターを図書室内に取り込むことが検討されたが,建物の構造上不可能だった。その結果,フロア間の移動には室内階段を使用することになったが,階段での移動が困難な利用者はエレベーターを使えるようにした。カウンターでカードキーを貸し出すことで室外のエレベーターを使って移動し,各フロアに直接入室することができる体制を設けている。
 カウンターには常時1名,主として委託職員が入って閲覧業務を行い,レファレンス質問などサポートが必要な場合は職員が対応する形をとっている。
 質問の多くは資料の所在,一次資料の探し方に関することである。
 1階図書室で提供していた,ITスペース(パソコン設置),ビデオカメラ貸出,AV編集コーナーの各サービスは,リニューアルを機に終了となった。

5 4ケ月を経て
 2010年4月から7月までの4ケ月間の南館図書室への入室者数を昨年同期間と比較すると,全体で約48%の減少となった。学部生の減少率が65%と高く,大学院生は31%の減少である。
 この大きな理由は,ITスペースを廃止したことにあると思われる。学部生の大多数はパソコン利用を目的に1階図書室へ入室していたといって過言でないからだ。むしろ,資料や(本来の意味の)閲覧席利用という,図書室本来の使われ方がなされるようになったともいえよう。
 法務研究科との関係では,1階にカウンターがあった時には気軽に教員が立ち寄ってくれていたが,地下3階に移ってからは,やはり遠くなったせいか,教員とのコミュニケーションが取りにくくなっている。地下という不利な条件を抱えた図書室へいかにして来てもらうかが大きな課題だ。
 資料は一箇所にまとまったためにアクセスはしやすくなったと自負しているが,設備や資料のより良い配置についても,利用状況に目を配りながら考えていきたい。

参考文献
1)梁瀬三千代.南館図書室の運用開始.MediaNet.no.12, 2005, p.64-68.
2)梁瀬三千代.南館図書室―開室から1年を経て―.MediaNet.no.13, 2006, p.36-38.

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