プロジェクトの目的

  慶應義塾大学メディアセンター(図書館)では、このたび学術・専門書のデジタル化と特定利用者への提供を試みる実験プロジェクトを立ち上げました。

  最近はさまざまな電子書籍が作成・提供されるようになり、また読書端末の開発も進んでいます。しかし、その多くは一般書やマンガを一般の人びとに提供するもので、電子形態の学術・専門書を大学図書館を通じて学生や研究者に提供することについては、日本の書籍ではまだほとんどおこなわれていませんし、具体的な提供方法等の検討も進んでいません。

  本プロジェクトは、出版社等との協力により学術・専門書をデジタル化し、メディアセンター(図書館)を通じてさまざまな方法で学生・教職員に提供してその反応を見ることにより、今後の学術・専門書の提供方法、さらには学術・専門書をデジタル化し大学図書館を通じて提供する際の関連諸課題に関して示唆を得ることを目的としています。提供する電子書籍は図書館でよく利用されるものを主として想定しているため、必ずしも新刊書ではありません。

本プロジェクトは次のような点を特色としています。

● コラボレーション
 - 出版社等と協同して、学生・教職員のために商品を開発します
 - 学生にもモニターとして参加してもらいます

● マーケティング・技術的な課題の検討
 - 大学図書館が適切に電子学術・専門書を提供し利用してもらうためには、単にデジタル化しシステムを通じて提供するだけでは十分ではありません
 - どのようなデジタル化、どのような提供方法が受け入れられるのか、さまざまなことを試みる必要があります
 - コラボレーションにより、作成側、提供側、利用側それぞれの立場をすりあわせ、適切な提供方法等を試行・検討します
 
● ビジネス確立に向けた実証実験
 - 大学図書館が電子学術・専門書を提供するために、大学図書館、出版社等に求められる具体的な条件を明らかにし、実際のサービスに結びつけます

慶應義塾大学メディアセンター所長 田村 俊作