システムについて

日本語電子学術書プラットホーム

現在、日本語の学術書を提供する国内のプラットホームがありません。利用者の使い勝手を考えれば、大学での学術的な利用に適した国内プラットホームも必要だと考えています。本実験は商用のプラットホームを作ることは目指しませんが、日本語の電子学術書プラットホームに関する技術的な評価や利用者の視点からの提案を行います。


図書館蔵書検索システムからの連携

海外で行われた電子学術書の利用調査を見てみると、読者が電子学術書の存在を認知するきっかけとしては、「サーチエンジン」と「図書館の蔵書検索システム」の2つがほぼ同じくらいの比重をしめています。本実験でも、慶應義塾大学の蔵書検索システム(KOSMOS)から検索できるようにします。当面は、書名や著者名、出版社といった書誌事項からの検索となりますが、電子化した複数の学術書間の全文横断検索機能も予定しています。書誌検索と全文検索でどのような利用者の検索行動上の違いがあるかについても調査いたします。


ファイルフォーマット

用意するファイルフォーマットは底本となる資料の状態により2種類を想定しています。底本が紙である場合は版面をスキャニングし、OCRをかけてテキスト情報を抽出します。読者には版面イメージが提供されますが、テキスト情報は検索用として利用されます。底本がDTPデータのような場合、リフロー型の電子書籍を提供する予定です。この実験は二期以降(2011年4月以降)となります。まだ日本語電子書籍の標準化に関する結論が出ていないため、フォーマットを何にするかも実験の対象となります。


DRM(Digital Rights Management)について

DRMにおける保護と使い勝手のバランス自体が本実験の目的となります。DRMのないシステムは論外ですが、DRMの保護を強めれば利用者には使いにくシステムとなります。本実験では、学術的な電子書籍の利用と権利保護のバランスを考え、以下の「鍵」でデジタル著作権管理を行います。
  • 大学の個人認証システムとの連携
  • 書籍ファイルの暗号化、複製防止技術の使用
  • 複合鍵の使用

利用するためには慶應義塾大学の個人認証システムによるログインが必要となります。また、協賛企業様が保有する携帯電話へのコンテンツ配信技術を転用し配信時のリスクも管理します。